日本協会が八百長疑惑で告発された日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)についての現地情報収集のため、スタッフを緊急でスペインに送り込んだ。大仁邦弥会長(70)が20日、明かした。アギーレ監督はアジア杯オーストラリア大会(来年1月9日開幕)で指揮を執る方針だが、万が一に備えて同監督の関係者や日本協会のスペイン人顧問弁護士らから今後の進展状況などの情報を集める。また、霜田正浩強化担当技術委員長(47)も海外組視察のため渡欧した。

 日本協会がアギーレ監督の「八百長問題」の情報収集のため、スタッフを緊急渡欧させた。大仁会長がこの日、神戸市内で行われたフットサルの国際親善試合日本-クロアチア戦後に「今、向こうに人を行かしているので、その辺(八百長問題)についての情報も入ってくる」と明かした。

 日本代表監督が八百長疑惑で告発されるという異常事態に、日本協会も具体的な行動に出た。18日の理事会でもアギーレ監督の進退についての議論さえされず、アジア杯に向けて「続投」の方向性が確認されたのみだったが、このタイミングでついに動いた。

 告発状がバレンシア裁判所に受理されれば、本格的な捜査が始まる。同協会の原専務理事も18日の理事会後の会見で「海外の選手に対しては霜田委員長が状況を説明することになる。(日本協会スタッフが)スペインに行ってアギーレ監督の代理人も含めて情報を集めるのも大事」と話していた。

 今回、派遣されたスタッフは、日本協会の中でもサッカー界における法務部門を専門とする精鋭。現地ではアギーレ監督の代理人アルティガス氏、顧問弁護士、同協会の顧問弁護士を務めるスペイン協会ビジャル会長の息子らとも会談して情報交換する予定だ。既に裁判所の証人喚問の日程や捜査の流れの予測、その場合の日本代表監督の業務への支障の有無などの情報を収集中だが、現地でそれをさらに進めるとみられる。

 日本協会関係者によると、霜田強化担当技術委員長と一部の外国人スタッフも渡欧しているという。基本的にはアジア杯に臨む日本代表の海外組の視察が目的だが、日程が合えば「八百長問題」を不安視する海外組の選手への状況説明を行う可能性もある。

 18日の会見で原専務理事と同席した日本協会法務委員長の三好弁護士は「代表の指揮に支障が出るとなると、それ(監督交代)も当然考慮する必要はあると思います」と発言。大仁会長も「それ(最悪の状況)も考えながら情報を集める」と話し、スペイン司法当局の動き次第で状況の変化があった場合は監督更迭に動くことを示唆している。

 原専務理事は「アジア杯連覇は我々の願い。そこまではしっかりやる。その先をどうこう言うよりは」とも話していた。アジア杯でアギーレ監督が指揮を執る方針に変わりはない。ただ、近日中に告発状が受理されるという現地報道もある。今回、もたらされる現地情報は今後のアギーレ監督の動向においても重要なものになるはずだ。<アギーレ監督告発後日本サッカー協会の動き>

 ◆告発

 15日、アギーレ監督が、11年のスペイン1部リーグの試合で八百長に関与した疑いがあるとして、同国検察当局によって告発された。西沢コミュニケーション部長は「協会には連絡はない。コメントのしようがない」とした。

 ◆部長が会見

 16日、大仁会長、原専務理事ら幹部が対応を協議した。アギーレ監督とは通訳を介して連絡を取る。西沢コミュニケーション部長が記者会見し「本格的な捜査が始まると思うので、進捗(しんちょく)状況を見守る。協会としても独自の情報収集に着手する」。大仁会長は報道陣には対応しなかった。

 ◆原専務理事が会見

 18日、東京都内で開いた理事会後に原専務理事が会見し、「現段階でアギーレ監督をどうこうとは全く考えていない」と、来年1月のアジア杯でアギーレ監督が指揮を執る方針を示した。大仁会長は都内で「告発状が受理された場合にどう対応するか。どう進展するかは分からないが、いろいろな状況に対応できるようにする」と話した。