日本代表FW本田圭佑(28=ACミラン)が28日、超ハード日程の合間を縫って実戦をこなし、2連覇のかかる来年1月開幕のアジア杯(オーストラリア)モードに突入した。今日29日から千葉県内で行われる代表合宿に向け、早朝にサッカー教室を行ったタイから帰国。午後には東京・清瀬市内で自身が立ち上げた組織に加わったクラブチーム「S.T.FOOTBALL

 CLUB」をサプライズ訪問。中学生相手のガチンコ勝負で2ゴールをねじ込んで勝利し、準備を整えた。

 本田は突然やって来た。スーツにサングラス姿でタイから帰国したのがこの日早朝。休む間もなく午後にはスパイクを履いて人工芝のピッチに立っていた。哲学注入中の傘下チームをサプライズ訪問。ミランと同じ背番号10のビブスを着用すると、自身が率いる即席の“チーム本田”11人で、全国屈指の実力を持つ中学3年生とフルコートでガチンコ勝負した。

 取材には一切応じなかったが、冒頭「遠慮せず、勝負にこだわってやって下さい」と伝えたといいアギーレジャパンと同じ4-3-3の右FWで2ゴール。クロスバー直撃の強烈な無回転FKも放った。

 当初20分×3本の予定だったが、2-2同点のスコアに納得がいかない。半ば強引に10分を1本追加。白熱したロスタイムも含め合計80分以上、約1試合分戦った。

 息は上がり汗まみれになりながら、4-2での勝利に納得の表情。厳しさを身をもって示した教え子たちは進学を控えている。試合後は「ここからが本当の意味での勝負。ハングリーに、謙虚に上を目指して下さい」との言葉も贈った。

 26日にミラノをたち、欧州経由便で27日早朝にバンコク入り。昼間にサッカー教室を終え、夜に日本へ。2夜連続機中泊で早朝に帰国したばかり。超強行日程だが、代表合流前日に強く望んで足を運んだ。

 このチームは11月に自ら立ち上げた、世界で活躍する選手の育成と人間教育を行う新組織「ホンダズ・フィロソフィカル・エデュケーション」の根幹をなす中学生世代の強豪。プレーと言葉で、どうしても伝えておきたかった。区切りをつけ、ここからは完全に代表モード。指揮官の八百長関与疑惑で周囲は騒がしいが、本田はブレない。いつも通りの徹底的な準備で、アジア杯2連覇へ踏み出した。【八反誠】

 ◆本田のハードな移動

 26日午前にミラノの自宅を出発。午前発の便でスイス・チューリヒに向かい、午後1時15分発の便に乗り換えタイ・バンコクへ。翌27日午前6時にバンコク到着。同地でサッカー教室を行い、午後11時15分発の便で帰国の途へ。28日午前6時39分に羽田空港に着陸した。2晩を機内で過ごし、時刻表通りなら飛行時間だけで計17時間25分。日本との時差は欧州2都市が8時間、バンコクが2時間。気候も寒い欧州から、暑いタイ、冬の日本と変化した。