【ブリスベン(オーストラリア)15日】疑惑についての質問は門前払い-。八百長疑惑でスペインのバレンシア裁判所に告発が受理されたと報じられた、日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)が、イラク戦に向けて前日会見を行った。国内外のメディア約100人、テレビカメラ20台が詰めかけた中での会見だった。告発受理について「サッカーの話しかしない」と繰り返し、一切受け付けなかった。

 至近距離から浴びせられるまばゆいフラッシュの中、アギーレ監督は眉間にしわを寄せたまま会見場に現れた。AFCスタッフと笑顔で握手をし、ゆっくりとイスに座ると前だけを見据えた。最初の質問で日本人記者から、告発受理についての質問が飛んだ。通訳の言葉にじっくりと耳を傾けて、1つ2つ確認。一瞬の間をおいて強い口調で「選手たちとはサッカーの話しかしません」と機先を制するように、言い切った。マイクを通した声が、割れるほどの強調ぶりだった。

 さらに外国人記者から英語で「スペインの裁判所から通知は届いたのか」と事実関係を問う質問が出た。すると指揮官は、通訳が訳す前に反論しかけた。訳し終わった後に仕切り直し「サッカーの話しかしません」と遮り、疑惑に関する質問を一切受け付けなかった。質問者は首を振りながら不満げな表情を見せた。出場すれば節目の国際Aマッチ150試合目を迎える遠藤に、長くできる秘訣(ひけつ)についての質問が出て「僕にも分かりません」と笑わせた時も、伏し目がちで笑うことはなかった。

 日本代表監督が、本格捜査の対象になることが確実と報じられ、会見場は100人を超えるメディアが集合した。テレビカメラも20台を数えた。イラクのラディ監督は会見後に疑惑について「その件は知らない」と話すにとどめ、対戦国を刺激しなかった。

 また日本協会の霜田技術委員長は昼食後、全選手、監督らスタッフを前に2、3分の訓示を行った。同委員長は「大仁会長から『現場は試合に集中してくれ』と言われたので、監督の許可を取った上で話した。まだ現地で報じられただけで、受理された事実は聞いていない」とした。選手から質問は出なかったという。

 告発が受理されて迎える初めての試合。前回覇者としてはもちろん、監督の動向にも一層、注目が集まる。これまで以上に好奇の目にさらされながら、決勝トーナメントをかけたイラク戦が幕を開ける。【高橋悟史】