<アジア杯:日本2-0ヨルダン>◇1次リーグD組◇20日◇メルボルン

 日本代表FW本田圭佑(28=ACミラン)が3戦連発で、危なげなく8強に導いた。日本(FIFAランク54位)はヨルダン(同93位)に勝ち、3戦全勝の勝ち点9で1次リーグD組を首位突破。本田は前半24分に岡崎のシュートのこぼれ球を右足で押し込む先制弾。初戦パレスチナ戦から3戦3発で、2連覇へ弾みをつけた。日本は準々決勝(23日)でC組2位のアラブ首長国連邦(UAE)と対戦する。

 頼れる男が、また決めた。前半24分。本田の目の前、ボールが転がってきた。岡崎のシュートを、GKが左手ではじいたのを見逃さなかった。利き足ではない右足で押し込むと、お膳立てした岡崎を手招きした。2人で向き合い、今大会から始めた敬礼ポーズ。初戦パレスチナ戦から、国際Aマッチでは自身2度目となる3戦連発だ。日本を余裕の8強進出へ導いた。

 「非常にいい形で反応できた。ただもっと、反応すればチャンスになる何げない場面もあったんでね。(攻撃の)いいところを続ける。その回数をね、ビッグチャンスを増やせるように続けたいなと思います」

 深い絆がある。同い年の岡崎を信頼し一緒にいる時間は誰よりも長い。移動の際は飛行機の座席は隣に座ることが多く、熱すぎるほどサッカー談議を繰り広げる。代表合宿時、本田は宿舎ホテルから出ることはほとんどない。だが17日にメルボルン入りしてから、関係者によれば岡崎と2人でリラックスした様子で市内を散歩した。この日観戦に訪れたテニスの錦織とはこれまで交流はなかったが、数日前に知人を通じて別のホテルで面会。互いにユニホームを交換し、健闘を誓い合った。

 2連覇へ勢いを付けた。無傷の1次リーグ3連勝。その全試合の得点者に、自らの名を刻んだ。AFC(アジアサッカー連盟)からは、パレスチナ戦で審判批判とみられる発言があったとして罰金5000ドル(約60万円)が科せられたが、そんな雑音を封じる活躍ぶりだ。後半13分にも遠藤のスルーパスからゴールネットを揺らしたものの、微妙なオフサイド判定で幻に。同ロスタイムにも右足シュートがポストを直撃。最後まで追加点を狙い続けた。

 「(3戦を)危なげなく戦うことができたのは、4年前と大きく変わった。成長したところなんではないかなと思う。これからはノックアウト。何が起きるか分からないんでね。先制されれば、2点を取らないと勝ち進めない」

 準々決勝の相手は中東の難敵UAEだ。順当なら、続く準決勝(27日)で開催国オーストラリアと対戦する。本田個人としては、2大会連続のMVPに立てば史上初の快挙になる。終了間際には、日本の勝利を祝うかのように数百羽のカモメが、ピッチ上空を旋回。そんな幻想的な光景の中で、本田が1歩、アジア制覇に近づいた。【益子浩一】

 ◆本田の国際Aマッチ3試合連続ゴール

 13年8~9月の3戦連続以来、自身2度目の最長タイ記録。前回は8月14日のウルグアイ戦(宮城)、9月6日のグアテマラ戦(長居)、9月10日のガーナ戦(横浜国)でそれぞれ1点。いずれも国内での親善試合。