<アジア杯:日本1(4PK5)1UAE>◇準々決勝◇23日◇シドニー

 日本代表のハビエル・アギーレ監督(56)が解任危機に陥った。アジア杯2連覇を狙った日本はPK戦の末、FW本田圭佑(28)MF香川真司(25)の主軸2人が外し、UAEに準々決勝で敗れ去った。八百長疑惑に関する告発状がバレンシア裁判所に受理されたと報じられている指揮官は、その疑惑だけでなく、1996年UAE大会以来となる準々決勝敗退という結果により、今以上の窮地に追い込まれた。

 敗戦を見届けるとアギーレ監督は、相手ベンチにフラフラと歩き出した。力なくピッチに足を踏み入れ、選手たちをねぎらうしかなかった。2連覇がはるかかなたに見える、準々決勝での敗退。よもやの敗戦に指揮官は会見で悔しさをかみ殺した。

 「すべてにおいて相手を上回っていた。PK戦は運の要素も入り、50%の確率になる。不用意な場面で失点し、110分間は追いかけるだけだった」。自身の進退など今後については「相手は人生をかけて戦ってきた。PK狙いでその通りになってしまった」と話題をすり替えた。

 シュート数はUAEの3本に対し、日本は35本。CKはUAEはゼロだが、日本は18回。打てども入らず、柴崎の同点弾は残り10分になってから。体を張る相手に決めきれなかった。「1回や2回だったら心配するが、たくさんの決定機を作った。将来どうするかを聞かれたら、これを続けるだけだと言いたい」と強気だった。この敗戦で、18年ロシアW杯の前年に行われるコンフェデレーションズ杯への出場を逃した。W杯へ向けた強化に必要な公式戦の場に立てなくなった。

 大会前から、八百長疑惑で周囲は騒がしくなった。潔白を主張したが、14日には告発状が受理されたと一斉に報じられた。日本協会はアジア杯後まで対応を封印する方針を示しており、この日の試合後も大仁会長が「進退?

 私は考えていません。技術委員会が分析すること。告発が受理された(と確認できた)ら説明すると言っていた。(監督は)十分よくやってくれた」と明言。「続投か?」の問いに「そうです」と口ごもりながら答えた。霜田正浩技術委員長は「明日話します」と話し、エレベーターに乗り込んだ。

 今後、本格的な捜査が始まれば、スペインで聴取が行われる。代表活動への影響も想定される。疑惑以上に、5大会ぶりに準決勝進出を逃した事実が、進退問題に追い打ちをかける。「選手の疲労も、運もいいわけにしない。勝利に値するのは我々だった。上を向いて続けていきたい」。言葉とは裏腹に、置かれた立場は極めて流動的になってきた。