<アギーレジャパン解析料理:アジア杯UAE戦>

 ファウル数の多さが日本の苦戦ぶりを象徴していた。PK戦で敗れた23日のUAE戦を、サッカー分析会社「データスタジアム」の数値を基に検証。異常な数値を発見した。ボール保有率は日本が64・2%と圧倒。だが、攻勢を強めたチームの方が少なくなるはずの「ファウル」数で、18対15と日本が上回っていたのだ。守勢側のファウルがかさむのが一般的だが、この試合に限れば、完全に逆になっていた。

 なぜ、そうした逆転現象が起きたのか?

 それは開始3分のシーンに始まる。まず敵陣右サイドから仕掛けた酒井がボールを奪われた。だが、日本は1次リーグ3戦で披露した高速奪回を繰り出せず、最終ラインの背後にスルーパスを通された。相手FWがミスし事なきを得たが、カウンターから決定的なピンチを招いた。連動した守備が機能しないのだから、逆襲を防ぐための最終手段としてファウルがかさんでいった。

 コンディションにも問題はあった。相手より1日少ない中2日の試合で、立ち上がりから疲労の残りは明らか。前半10分間のボール保持率に限れば、日本42%-UAE58%。この時間帯にUAEが本来のパスサッカーで先制し、その後は守備固め。一方の日本は攻勢を強めるも、疲労による出足の鈍さもあってファウルが増加した。好機もふいにし続け、シュート35本で1得点。結局は決定力不足という長年の課題にたどり着く。【石川秀和】