<国際親善試合:U-22日本8-1U-23シンガポール>◇14日◇シンガポール・ジャラン・べサル競技場

 U-22(22歳以下)日本代表がU-23シンガポール代表と戦い、大勝した。MF中島翔哉(20=東京)が先制点を含む2得点。1月のアジア杯でA代表のトレーニングパートナーを務めた経験を生かし、火つけ役となった。3月27日に開幕するリオデジャネイロ五輪アジア1次予選(マレーシア)に向け、視界良好のチームは今日15日に帰国。予選メンバーは来月3日に発表される。

 A代表を知る男が格の違いを見せた。前半10分、A代表経験者のDF松原からロングパスを受けると、弾んだ球の上がり際を左足でボレー。鮮やかな速攻で均衡を破ると、前半21分に2点目だ。アジア杯代表のDF植田がインターセプト。MF豊川を経由して届いた球を右足で蹴り込んだ。後半31分にはスルーパスでチーム7点目(DF室屋)をアシスト。フル出場は今季初めてで「疲れました…。でも2点じゃ物足りませんね」と笑った。

 12月29日から1月8日まで、アジア杯代表のトレーニングパートナーを任された。練習試合で得点するなど「アギーレさんから『最後までいていいよ』と言われました」と評価された一方で「海外組の皆さんには判断の速さなどで及ばなかった。経験を持ち帰っても忘れないようにしないと」。さっそく結果を出した。

 チームの目標は「点を取る」だけだった。これまでは短い活動期間でコンセプト浸透を重視したが、先月のアジア杯でA代表が決定力不足を露呈した。手倉森監督は同大会から抽出した課題の映像を前夜に選手たちに見せ、解消に着手。「『日本全体の課題』と言われながら見た。点を取ってこそお金をもらえる。高めたい」と中島が言えば、指揮官も「途中でピタッと得点が止まれば課題と言われる。誰が出ても同じ攻撃の絵を描けた」と納得顔だ。不調のDF奈良を除く17人が出場し、ほぼ10分に1点のペースで、すべて流れの中からゴールを重ねた。

 昨年10月、この地でA代表がブラジルに4失点。今回は格下とはいえ倍返しの8発だ。陣形も4-2-3-1やアギーレ流の4-3-3を使い分けただけでなく「選手に相手の情報や指示を与えなかったし、不慣れな人工芝でもやってくれた」。来月の五輪予選を見据えて対応力を磨かせた。

 8強で終わったアジア杯の後、アギーレ氏が解任され、初の代表活動だった。日本サッカー界に影を落とす中、手倉森監督は「我々が希望の光を広げていきたい」。初招待した夫人と2人の娘にも勝利を届けた。いよいよ来月は本番。3日のメンバー発表を経て五輪予選に突入していく。【木下淳】