G大阪が「無観客開催」を土壇場で回避した。18日、6時間以上に及ぶ会議の末、大阪・吹田市の万博記念競技場で20日に予定されるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)FCソウル戦を、通常通り開催することを決定した。新型インフルエンザ感染拡大を受け、1度は「無観客」で行う方針を固めたが、1時間後に舛添要一厚生労働大臣が対策の緩和検討を表明したことで急転、通常開催を決めた。試合当日は観客全員の体温をサーモグラフィーでチェックするなど、厳戒態勢で感染防止に全力を注ぐ。

 G大阪は18日午後1時から、金森喜久男社長(60)を本部長とする「G大阪新型ウイルス対策本部」の会議を開いた。各スポンサー、周辺自治体、Jリーグとの相談や意見交換も含め、議論は6時間以上にも及んだ。午後4時時点で、万博がある吹田市、隣接する茨木市で感染者が出たことを重視して、国内初となる「無観客開催」の方針を決めた。

 ところが、わずか1時間後の同5時、舛添厚労相が新型インフルエンザ対策の緩和措置を検討することを表明。これを受けて急きょ通常開催に変更した。金森社長は「いったんはG大阪として無観客試合を決めましたが、舛添厚生労働相から『季節性と同じ認識でいい』という見解が出たことで、感染を防ぐ、打てるだけの対策を打って(通常開催を)やろうという結論に達した」と説明した。

 リーグ戦、ナビスコ杯の開催についてはJリーグが最終決定権を持つ。しかし、ACLはアジアサッカー連盟(AFC)管轄で、Jリーグに判断を仰ぐものの、開催の是非は当該クラブが決めて、ACLの承認を得る形となる。金森社長は最終的に「サポーターあってのクラブ」との見地に立ち、大阪府など自治体から開催自粛要請が出ていたものの、複数の詳細な感染防止策を提示することで折り合いをつけた。

 20日の試合当日は運営スタッフ全員がマスクを着用。入場門に赤外線のサーモグラフィーを設置、発熱の疑いのある観客は入場を制限する。待機させる医師、看護師を増員。観客全員に手洗い、うがいを義務づけ、その後にスタンドまで誘導する。休校となっている学校の生徒の入場制限、マスク着用の呼びかけも行う。24日のJリーグ鹿島戦(万博)も同様の対策をとって通常開催をする方針だ。【益子浩一】