<アジアCL:G大阪4-2シンガポールAF>◇23日◇1次リーグ◇G組◇シンガポール

 やっと勝った~。G大阪が公式戦7試合目で、今季初勝利を挙げた。5年目のFW平井将生(22)が、プロ初のハットトリックを達成するなど競り勝った。気温30度超の猛暑に加え、慣れない人工芝のピッチに大苦戦。遠藤、ルーカスら主力選手を欠きながらもエース候補が発奮した。得点力不足に陥ったチームに、かすかな浮上の光が差し込んだ。

 喜びよりも、ホッとした気分だろうか。プロ入り初のハットトリックを達成した平井は、大量に流れる汗をぬぐいながら安堵(あんど)感に浸った。ACLで1勝も挙げたことのない格下に大苦戦。それでもDFの裏に飛び出す速さと、シュート力。「浪速のアンリ」が能力の片りんを見せた。前半7分に一瞬のスピードで抜け出し先制弾を決めると、後半開始15秒で一時は勝ち越しとなる2点目。さらに同35分に左足でダメ押しの3点目を挙げた。

 チームも、平井も、重圧から抜け出した。G大阪は2年ぶりのアジア王者を目指しながらリーグ戦、ACLなど公式戦6試合で未勝利が続いた。05年にトップ昇格した平井も、未来のエース候補と呼ばれながら4年間で公式戦1点だけだった。

 愛弟子の活躍を誰より喜んだのは西野監督だ。指揮官は「4点取ると約束していたので、そんなに褒めたくない」と言いながらも「やっと期待に応えてくれた。他の選手にも波及してくれればいい。7試合して、1回勝てたことに素直に喜びを感じている」と胸をなで下ろした。

 20日新潟戦で途中交代を命じられたFWペドロ・ジュニオールが“造反”し、体重オーバーのゼ・カルロスもまだ本調子ではない。助っ人が不調で得点力不足に陥っている今季、平井の成長はかすかな光でもある。これまで金森社長は「以前は先発を伝えられると、熱を出してしまうくらい精神面が弱い子だった。平井の成長が、今年のG大阪の成長でもある」とまで言っていた。

 疲労を抱える遠藤が遠征を回避し、ルーカスも故障で長期離脱。さらに赤道直下の敵地は気温30度超で、慣れない人工芝だった。そんな苦境の中で、未完の大器が開花しG大阪がようやく「1勝」を挙げた。