仙台のMF茂木駿佑(18)が、J1昇格後ではクラブ史上初めて、高卒ルーキーとして開幕戦に出場する可能性が高まっている。今季、仙台ユースから3年ぶりにトップ昇格を果たした期待の新星だ。宮崎キャンプ12日目の26日、開幕前最後の練習試合(28日)を前に行われたこの日の攻撃練習と紅白戦でも、精度の高いキックとシュートで猛アピール。3月7日開幕戦、山形とのみちのくダービーで、初出場初ゴールを狙う。

 あるぞ開幕スタメン! 168センチの茂木の存在感が増している。現キャンプ中に行われた練習試合では、直近の広島戦、J2C大阪戦ともに右サイドハーフで先発出場。先輩らに交じっても、遜色ない技術を見せた。「キャンプもあと少し。開幕が近づき、やってやる、という気持ちが湧いてきました」と力強く言い放った。

 8日後に控えた開幕戦で先発となれば、05年(当時J2)にクラブ史上初めて高卒ルーキーで開幕戦に先発出場した現キャプテンMF富田以来、2人目だ。「そろそろ、富田さんに当時の話を聞いてみたいと思います」と無邪気な笑顔。だがその一方で「世界を見れば16歳くらいでデビューする選手もいる。それに比べれば遅い方」と冷静な一面ものぞかせた。

 秘技“ナックルキック”を武器にチームの勝利に貢献する。野球でいうナックルボールのように、ほぼ無回転で変則的な弾道を刻んで落ちるシュートだ。「GKが1歩も動けないシュートが理想」と語り、25日の午後練習ではGK石川慧相手に、スタッフに壁になってもらい、何度も中央からFKを蹴った。「試合で決められるようにと初めて壁を置いた。いつくるかわからないチャンスをものにしたい」と話した。

 石川慧は「軌道が読めないので止めにくい。モテ(茂木)の最大の武器であり、チームの武器にもなる」。GK関も「手元で変化するし、球に重さがある。試合で入る可能性が高いと感じ、GK陣も認めるキック」と評価する。渡辺監督も「彼のシュートは武器になる」と期待を寄せる。

 打つ時には験も担ぐ。「中村俊輔さんがそうしていると聞いたので」と必ずボールをクルクル回して空気穴を探してセット。そしてインパクトで穴に当たるように足を振る。「早くホームのサポーターの前で決めたい」。満員のユアスタでゴールを決めるシーンを脳裏に描いていた。【成田光季】

 ◆茂木駿佑(もてぎ・しゅんすけ)1996年(平8)10月2日、東京都文京区生まれ。小1でサッカーを始める。小3から中3時まで柏ジュニアユース、高校から仙台ユース所属。14年4月に2種登録され、今季仙台入団。168センチ、64キロ、A型。右利き。家族は両親と姉。