仙台は3日、キャンプ明け後初めて、仙台・泉サッカー場で練習を再開した。山形との開幕戦に向けて午前と午後の計3時間半、みっちりと練習を行った。イレブンの中でも、敵将の石崎信弘監督(56)から“突破”を予告されたかつての教え子、DF鎌田次郎、石川直樹(ともに29)の守備職人コンビは、ホームで返り討ちしての恩返しを誓った。

 厳しい寒さに気を引き締め直した。久々に戻ってきた仙台のグラウンドは気温4度。寒空の下、イレブンは開幕戦へ向けて午前はフィジカルトレーニング、午後は攻撃練習に励んだ。守備の要となる石川直と鎌田は息のあったプレーを連発。攻撃練習ではシュートも決めるなど存在感を示した。

 7日に迫ったみちのくダービーに、誰よりも闘志を燃やす。2人にとって相手の石崎監督は柏時代の恩師。目の前で成長を見せる機会が、いきなりリーグ開幕戦で巡ってきた。

 鎌田 イシさんはプロで初めての監督だし、柏では大学生ながら使ってくれた。熱いものを持っていて、昔ながらの頑固な部分もある。俺らにとってはオヤジですね。

 石川直 (当時J2)札幌でイシさんが監督だった時、J1でもう1度挑戦したくて出ていったこともある。反抗期だったし、親不孝だったと思う。柏時代は試合で続けて途中交代された時など、キレて文句を言ったこともあった。たくさん怒られたけど、あの頃があるから今がある。昨年は結婚式のスピーチもしてくれて『ワシが育ててやったんじゃ』って。

 親しみと尊敬。プロのキャリアを重ねる中で特別に大きな存在だが、勝負になれば別だ。堅守ベガルタの軸となる2人を突破しての勝利を宣言した恩師に対し、返り討ちを誓う。

 鎌田 ダービーではイシさんだからとかではなく、勝利を第一に戦いたい。特別な感情は抜きにね。とにかく試合に、山形に勝ちたい。

 石崎監督だけでなく、山形には元仙台の選手など関わり深い選手も多い。両者ともに高い位置でボールを奪い、カウンターで仕掛けるスタイルが持ち味。互いに相手の特徴は分かっている。球際の競り合いは激しいものになる。

 鎌田 中島とかは警戒しないと。特にFW、攻撃陣は注意すべきですね。同じ東北のチームとして盛り上げられればと思うけれど、絶対に負けたくないし、勝利は譲れない。

 石川直 プレーは熱く、頭は冷静にやりたい。うちには梁さん、野沢さんもいるし経験では分があるので大丈夫。イシさんの悔しがる顔が写真に納まるように、勝ちます!

 ホームで迎えるライバルとの一戦へ、準備は出来ている。【成田光季】

 ◆鎌田次郎(かまた・じろう)1985年(昭60)7月28日、東京都大田区生まれ。流通経大3年時に当時J2だった柏の特別指定を受けJ1昇格に貢献。08年に柏入団。10年、仙台に加入。J1通算188試合9得点。179センチ、77キロ。血液型O。

 ◆石川直樹(いしかわ・なおき)1985年(昭60)9月13日、千葉県柏市生まれ。04年に柏ユースからトップ昇格。09年7月に札幌へ期限付き移籍。翌年も期間を延長し主将も。11年に新潟へ完全移籍、13年から仙台に加入。J1通算156試合8得点。180センチ、73キロ。血液型O。