悲願のリーグ初優勝を狙う鳥栖の日本代表FW豊田陽平(29)が、3年連続の開幕ゴールを記録し、チームは2年連続で開幕白星スタートとなった。1点を追う前半にPKを決め同点。後半のFW池田の決勝点は豊田がおとり役となり、2-1で新潟に逆転勝ち。就任1年目の森下仁志監督(42)を初陣勝利に導き、日本代表定着へエースが最高のアピールに成功した。

 エース豊田が開幕戦を逆転勝利に導いた。これまで3年連続15得点以上という勝負強さを発揮し、3年連続の開幕弾を決めた。同時に2年連続の白星発進の立役者になった。4連敗中だった苦手新潟に堂々の逆転勝利だ。

 1点を追う前半27分だった。「相手が嫌がるところを意識している」という裏への飛び出しで倒され、自ら得たPKをゴール右上に決めて同点とした。後半5分のFKではファーサイドに流れて新潟DFのおとり役となり、マークが外れたFW池田の決勝点をお膳立てした。

 この日は森下監督の初陣だった。試合前のミーティングで、指揮官から「支えてくれる人たちのため、責任を持って戦おう」と鼓舞されモチベーションは高まっていた。

 鳥栖戦を観戦したA代表コーチを兼ねるU-22日本代表の手倉森監督も「気にして見ていたが頑張っている」と評価。日本代表監督に就任するハリルホジッチ氏へのアピールにもなった。豊田は「勝つのが大事だが失点はいただけない。攻守両面にもっと突き詰めないといけない」と気を引き締めた。

 成長を支えるのは徹底したこだわりだ。豊田は力を足先にまで伝えるため、メーカー特注の素足に近い感覚の軽量スパイクを使用。練習前は湯に足をつけ筋肉を温めるなど、けが防止や自己管理に努めてきた。

 DF安田が神戸へ移籍するなど、豊田も今冬は移籍の道もあった。だが「まずこのクラブでやるべきことをやりたい」と、鳥栖での6年目を選択した。昨季は一時首位に立つなど過去最高に並ぶ5位。悲願の優勝が見えていた。

 「夢がかなうまで自分らしさ、鳥栖らしさを前面に出していく」。93~96年にカズこと三浦知良(J2横浜FC)が成し遂げて以来、J1で2人目となる4年連続15得点以上の記録も視野にある。鳥栖の大黒柱が大きな1歩を踏み出した。【菊川光一】