山形が今季ホーム初戦で清水を破り、公式戦初勝利を飾った。前半38分、スルーパスに抜け出したFW伊東俊(27)が右足で決め、待望のチーム公式戦初ゴール。1-1の後半19分には途中出場のMF中島裕希(30)が勝ち越し点を奪い、同27分にはオウンゴールで突き放した。

 開幕連敗スタートとなった山形が、リーグ戦の悪い流れを今季ホーム初戦で断ち切った。14日の浦和戦から先発6人を入れ替えて臨んだ一戦で、出場機会に飢えていた選手たちの力が結集して3ゴールの快勝。石崎監督は「苦しい試合だったが、ホームで選手1人1人が頑張って、一丸で戦ったからこその勝利」と奮闘をたたえた。ナビスコ杯の勝利は、10年6月のホーム湘南戦以来1747日ぶり。試合後は、本拠に集まった4025人のサポーターと喜びを分かち合った。

 待望の2015年最初のゴールは、伊東の予告どおりの一撃だった。前半38分、DFボムヨンのスルーパスに抜け出して右足を振り抜いた。一瞬で相手を置き去りにするスピードを見せつけた会心の得点、背番号10は「ボン(ボムヨン)のパスが良かったので、うまく相手をすりぬけられた」と仲間に感謝した。

 たまっていた悔しさをぶつけた。伊東は昨季終盤、右足首痛の影響もあって先発を外れる試合が多かった。今オフは地元札幌で「今までで一番体を動かした」と、自主トレで故障しがちだった右足首を徹底的に強化。開幕前に「最初のゴールはもちろん狙っている。調子が良いので、たぶん右足」と宣言するほど、手応えは十分だった。仙台との開幕戦はスタメン出場も不完全燃焼に終わっただけに「初得点はうれしいけど、勝てたことが一番」と胸をなで下ろした。

 中島の決勝点も、縦パス1本で相手DFラインの裏に抜け出す理想的な形だった。指揮官も「攻撃のところで良さが出た」とうなずいた。シュート5本で3得点と、少ないチャンスを確実に決めてつかんだ1勝の価値は大きい。次はリーグ初勝利を目指し、22日にホームで川崎Fに挑む。【鹿野雄太】