仙台レディースのなでしこジャパン、川村優理(25)が開幕戦でチームを救った。0-1の後半24分に同点ゴールを決めて、千葉と引き分けに持ち込んだ。代表ではセンターバックを務める川村は、本職のボランチの位置から攻め上がり2年連続の開幕弾。アウェーで勝ち点1をもたらした。

 ゴール前でフリーになった。ボランチの位置から仙台レディース川村が駆け上がっていた。FW有町のパスを右足でたたき込んだ。「絶対シュートを打って決めたいと思った。入って良かった」。昨年、古巣千葉にレギュラーシリーズ最終戦で敗れて下位リーグに回った。試合会場も同じ。因縁の一戦を自ら得点して劣勢の流れを変えた。

 昨年に続く千葉との開幕戦。14年はホームで決勝ゴールした。15年はチーム創設4年連続の開幕戦勝利は逃したが、引き分けにして負けなかった。千葉監督は「ビハインドから同点に持っていけたのは大きな収穫」と評価した。昨年は失点すると気落ちし、追加点を奪われて敗れる試合が多かった。「チームの中心」と同監督が信頼を置く川村が、ひと味違う仙台レディースを証明した。

 昨年なでしこジャパンに定着した。今月のアルガルベ杯ポルトガル戦では得点もした。6月には女子W杯カナダ大会が開幕する。「ゴールはできたけどボールに触る回数を増やして、試合の流れをつくりたい」。4年に1度の大会に向け、向上心を忘れていない。

 代表ではセンターバック、チームではMF登録でボランチを守る。「ゴールができて体を張れる長所が出せる」とボランチを好むが、対人の強さはどちらにも生きる。「まだチームも自分も成長が必要」と言う川村が、価値ある勝ち点1を手にしてW杯イヤーのリーグ戦スタートを切った。【久野朗】