J2磐田はMF小林祐希(22)の勝ち越しFK弾で大分に競り勝った。1-1で迎えた後半42分。先制点を挙げたMF宮崎が倒され好位置でFKを獲得した。角度を含め「自分の位置」と確信した小林はDF駒野に「いかせて」とキッカーを直訴した。

 小林 コマさんは渋ってたけど練習で決めてたから。コマさんに勝った時点で入ったなと(笑い)。

 立候補の責任を果たした勝ち越し弾だ。ドラマチックな勝利に、名波浩監督(42)も「祐希が決定的な仕事をしてくれた。連戦の初戦で非常に大きな勝ち点3だ」とたたえた。

 小林は12年夏に磐田に加入。出場機会に恵まれない時間が長かったが、居残りで後輩GK牲川を相手にFK練習を続けてきた。牲川に「まだコースが甘いですね」と突っ込まれたことも。小林はキックの質を、牲川も小林の球を受けることでU-22日本代表に入るなど切磋琢磨(せっさたくま)してきた。練習が実を結んだ美しい弾道のゴールにも「ちょっとコースが甘かった。(磐田GKの)カミンスキーだったら止めている」と反省も忘れない。

 チームは2位に浮上し、指揮官は小林とこの日先発したFW森島のゴールがチームを勢いづかせると感じている。小林は「(森島に)決めさせてあげたかった。そこがちょっと悔しい」と森島を気遣い「次に向けて切り替えます」と次節を見据えた。【岩田千代巳】