超ユーティリティープレーヤーが、故障者続出の山形を救う。清水から期限付き移籍で加入したDF高木純平(32)が3月31日、チームに合流した。「どのポジションでもやる」と意気込む15年目のベテランは、午後練習のミニゲームで3バック右に入った。昨季はGK山岸範宏(36)が付けた背番号「31」で、目標の残留に導く。

 強い覚悟を持って、高木純が山形にやってきた。3月18日のナビスコ杯での対戦では出場機会はなかったが、翌19日に獲得オファーを受けたという。清水では最年長ながら出番に恵まれず、1週間以上考え抜いた末に移籍を決断した。

 高木純 (清水を)出ることはないと思っていたので、正直すごく悩んだ。でも、このまま終わりたくないと思った。骨をうずめる意気込みで来た。

 決断の決め手は、恩師の存在だった。11年に石崎監督率いる札幌で主力としてJ1昇格に貢献したが、翌12年に最下位で降格。当時のリベンジと恩返しを誓い、新たな挑戦の道を選んだ。

 高木純 もう1度、石崎監督と一緒にやりたいという思いが(決断の)8割。あの悔しさを、今回晴らしたい。途中加入の重みは分かっている。これで落ちたらシャレにならないし、自分の責任だと思っている。何かの縁で、また一緒にやれる喜びを感じている。石崎監督の力になりたい。

 ほぼ全ポジションをこなす万能性は、大きな武器になる。札幌では急造ながら1トップも任された。石崎監督のメニューにも合流初日から違和感なく溶け込み、午後のミニゲームでは故障者が続出している3バック右に入った。

 高木純 前からプレッシャーをかけるサッカーだと知っているので心配はしていない。ポジションは、やれと言われればどこでもやる。センターバックはやったことがないけど、ここまで来たら、あとはGKだけというリーチをかけたい。

 新天地での背番号は31。昨季は途中加入した山岸が付けていた、救世主の番号だ。ユニホームに袖を通すと「縁起がいいですね。僕もヘディングで決めたい」と笑顔を見せた。石崎イズムの申し子は、早ければ4日のホーム湘南戦でデビューする。【鹿野雄太】

<高木純平(たかき・じゅんぺい)あらかると>

 ★経歴 1982年(昭57)9月1日、熊本県生まれ。小4から熊本YMCAでサッカーを始める。清水ユースから01年に清水入り。10年7月から札幌に期限付き移籍し、翌11年から完全移籍。13年に清水に復帰。J1通算135試合5得点。J2通算55試合2得点。利き足は右。

 ★特長 動きだしのタイミングと基本技術の高さ。「トラップ、パス、シュートすべて自信がある」。

 ★山形で驚いたこと 30日に山形駅付近で石崎監督夫妻と遭遇。「手をつないで歩いているのを目撃してしまった(笑い)」。

 ★ニックネーム 名字で呼ばれたことは「あまりない」。同姓の高木利もいるため「純平と呼んで」。

 ★身長、体重、家族構成、血液型 170センチ、62キロ。夫人と1女。血液型A。