キングのあっぱれ弾だ! 48歳のJ2横浜FCのFWカズ(三浦知良)が、前半12分にヘディングで今季2点目を決めた。自身の持つJリーグ最年長得点記録を48歳1カ月24日に更新。テレビ番組で張本勲氏(74=野球評論家)から「もうおやめなさい」と“引退勧告”を受けてから初の試合だったが、厳しい意見にも「自分を人として成長させてもらえる」と感謝しつつ、ゴールという結果で回答した。試合は引き分けた。

 サッカーにおいてゴールほど雄弁なものはない。カズが大打者・張本氏の発言を受けてヒートアップした話題に、完璧なヘディング弾で即答した。

 前半12分。「相棒」と呼ぶ長身FW大久保の頭での折り返しを予測しGKの動きを読み切ってネットを揺らした。「いいコンビネーションで取れた」。上位争いする長崎から完璧な先制弾。カズダンスを舞い、決めポーズは下からガツンと突き上げた。

 ピッチ外で“騒動”があった。前節11日熊本戦(アウェー)で1度は自身の得点と表示されながらオウンゴールに訂正された幻のゴールのあった翌12日。TBS系の「サンデーモーニング」でご意見番の張本氏から一方的に「もうおやめなさい」と引退勧告された。それから1週間が経過。試合前の同番組では、この発言に対しカズが「激励」と感謝したことを伝え、同氏が「けがせず元気で頑張ってほしい」と発言を訂正。決めゼリフのあっぱれを贈られた。

 この日は、この放送を見てから会場入りしていた。しっかり得点を決めて、文字通り一発回答。試合後にはあらためて、こう言って張本氏に感謝した。

 「サッカーのことで言われるのは本当に幸せ。自分を人として成長させてもらえる。プレッシャーだったり、こうやって言われることがなければ自分自身に甘えてしまうかもしれない。厳しいことを言ってもらえるだけ幸せです」

 クラブ関係者によると、自身が発言することで張本さんが周囲から悪く思われ、迷惑がかかるのでは? と気にしていたという。キングと呼ばれる男の器は、こうも大きいのか。番組内での「食事をごちそうしたい」という申し出にも「ぜひ」と答えた。

 もう年齢は関係ない。引退と隣り合わせの48歳だが「48歳って面倒くさいですよね? もう50歳って書いて下さい。早く50歳になりたいです」といきなりの「自称50歳」宣言。年齢を重ねる=引退という図式とは無縁だ。張本氏の「喝」の効果か? 決めたのはカズ。引き分けではあったが、まさに「あっぱれ」なサンデーになった。【八反誠】

 ◆張本氏のコメント 12日放送の「サンデーモーニング」でカズが5日磐田戦(ニッパツ)で自身の持つJリーグ最年長ゴール記録を更新した話題に「カズファンには悪いけど、もうおやめなさい」と発言。「スポーツマンとして、もう魅力もない」「野球で言えば(J2は)2軍だから、2軍で頑張ってもそんなに話題性もない」などとぶった切った。同氏の辛口コメントは同番組の名物でもあるが、かつて米大リーグの川崎(ブルージェイズ)を酷評したことから、ダルビッシュ(レンジャーズ)が自身のツイッター(短文投稿サイト)上で質問に答える形で疑問を呈するなど“場外戦”に発展することもあった。