H組最下位だった鹿島が生き残った。敵地で2位ウェスタンシドニー(オーストラリア)に逆転勝ち。負ければクラブ初の1次リーグ敗退が決まった一戦で先制されたが、後半21分にMF土居聖真(22)が同点弾。同ロスタイム1分にMF金崎夢生(26)が決勝点を奪った。今大会初の3位に浮上。5月5日の最終節・ホームFCソウル(韓国)戦に勝てば決勝トーナメント進出が決まる。

 雨上がりのシドニーに、鹿島イレブンの笑顔が晴れ渡った。勝つしか自力突破の可能性を残せない一戦。1-1で終了かと思われた後半ロスタイム1分、劇的なドラマが待っていた。MF金崎が決めた。DF山本のグラウンダーの左クロスに反応し、一瞬で相手DFの前に出る。右足ワンタッチでコースを変えてネットに流し込み「いいボールが来たので。決めるだけでした」。ACL初ゴールで崖っぷちのチームを救った。

 救世主だ。今年2月、ポルトガル2部ポルティモネンセから加入。17戦9発の実力に偽りなく、今季の公式戦4得点はチームトップタイだ。おとこ気で16冠軍団にとけ込んでいる。4月3日のJ1鳥栖戦でDFキムに顔面を踏まれた。スパイクの跡が残るほど危険なプレーだったが、後日クラブハウスへ謝罪に訪れたキムと肩を組んでサム(親指)アップ。関係者は握手を勧めたが「それじゃ(和解が)伝わらない」と金崎から肩に手を回した。チームメートの信頼も厚く、攻撃の第1ターゲットとして多くボールが集まっている。

 試合は昨季ACL覇者に苦しめられた。前半24分に先制を許す。「日本人助っ人」のMF高萩のパスからFWルカビツヤに決められた。日本代表DF昌子を出場停止で欠く中、公式戦11試合連続の失点。だが、後半21分に追いついた。MF土居が右サイドへの縦パスを受け、左へ切り返して左足でシュート。好セーブを連発されていた相手GKの右脇を射抜いた。ACLの敵地勝利は11年4月13日以来1469日ぶりだった。

 背水の徳俵から一気に押し返した。前節7日の広州恒大戦も後半ロスタイムに決勝点。3連敗スタートから、2戦連続の終了間際弾で望みをつないだ。最終節でFCソウルに勝てば出場5大会連続の1次リーグ突破。「もう1試合、勝って決勝トーナメント進出を決めたい。ホームのサポーターの力を借りて」。新エース金崎が自力突破へ導く。

 ◆1次リーグの順位決定方法 複数チームが勝ち点で並んだ場合、順位は以下の優先順位で決定する。(1)当該チーム間の勝ち点(2)当該チーム間の得失点差(3)当該チーム間の総得点(4)当該チーム間のアウェーゴール数(5)1次リーグ全体での得失点差(6)1次リーグ全体での総得点(7)当該チームが2チームで、最終節がその2チーム間の試合であれば、その場でPK戦となる(8)警告および退場処分になった回数をポイント化して比較(9)国別AFCランキングの順位の高い方となる。