川崎FのFW大久保嘉人(32)が「2倍速」でゴールを量産中だ。13年の川崎F移籍後の得点は、出場72試合目(3季目)で区切りの50点に到達。前所属の神戸でも50点をマークしたが、その倍以上の154戦(6季)を要した。移籍後に得点を量産するようになった理由の1つには、MF中村ら国内屈指のラストパサーの「アシスト」もあるのだろうが、シュート関連のデータを分析すると、また違った側面が明らかになる。

 神戸時代と現所属でのシュート数を90分平均に換算して比較すると、2・98→3・02本と大差はなかった。その一方では枠内率が39・8→47・0%とアップ。過去に散見されたシュートを大きくふかすシーンは減り、抑えの利いたミドルが枠をとらえるようになった。神戸時代にはコンディション維持に苦しんだ時期もあったが、30歳で移籍した新天地では心身ともに充実。コンディション面と技術向上があいまって、決定率は神戸時代の1割2分→2割3分と大幅に良化した。

 J1通算得点は歴代4位タイの139点でカズの記録に並んだ。そのゴールに必要なシュートは、通算821本でカズの814本を抜いて単独4位、日本選手では最多。年齢とともに進化し続ける32歳FWが、今度はカズの得点記録を塗り替えようとしている。【石川秀和】