じれずに待って、先制点にたどり着いた。後半29分。浦和MF柏木陽介(28)は、右サイドでボールを持つと、左足の外側にかけたパスをゴール前に送った。「アウトにかければ、相手DFのタイミングを外すことになると思った。中央のズラタンの頭か、その先の梅崎に合えばと」。思惑通り、堅守の甲府DFラインが対処に迷う間を通り、ボールは左から飛び込んだ梅崎の元へ。角度がないところから、うまく押し込んだ。

 先制アシストの場面以前から、冷静だった。前半から5枚の最終ライン、4人のMFでブロックをつくる甲府を攻めあぐねた。昨季はリーグ2戦ともにスコアレスドローに終わり、優勝を逃す遠因になった悪夢が脳裏によみがえる。しかし柏木は「イライラしている選手もいたけど、オレはこれで構わないと思った」。周囲の選手に「ゼロゼロで構わないぞ」と声をかけ続け、落ち着かせた。

 司令塔は「去年までなら、オレが真っ先にじれていたと思う」と吐露した。ムリに攻めに出て、カウンターを食らって失点する。守りを固める相手に失敗を繰り返すもろさは、チームから消えつつある。開幕8戦負けなしは06年以来のクラブタイ記録だ。

 次節5月2日はホームG大阪戦。昨季、逆転優勝を許した因縁の相手との首位攻防戦だが「まだシーズンは4分の1」と首を振った。「G大阪はFWが強力なので、2人で攻めて8人で守っている局面もある。そういう時にウチはどう試合運びをするべきか。そういう意味では、今日はいいシミュレーションになった」と冷静な分析で締めた。【塩畑大輔】