柏と湘南という中位同士の対決は0-0のドローで終わった。

 だが局面での激しい戦いぶりは見応え十分。湘南・曹貴裁監督(46)は試合後、「お互いがスタイルを崩さずに勝負できた。すがすがしいです」と納得の様子だった。

 速いカウンターからサイドに展開し、クロスで勝負した湘南は、何度か相手をヒヤリとさせ、球際でも負けなかった。曹監督は「ハリルさんがJが甘いとか戦えないと言っているのを新聞紙上で読んでいる。指導者として責任は感じているが、球際とか戦わなければならないところでお互い良い部分を出せた」と胸を張った。

 曹監督はかつて柏でプレーし、相手の吉田達磨監督(40)とは元チームメート。日立の社員寮でともに暮らし、同じ職場で働いたこともある。

 「タツ(吉田監督)が柏で(バルセロナのような)トータルフットボールを下部組織からやろうとしているのは、クラブ哲学として素晴らしいし、我々にもまた違う質のフットボールがある。どちらが正しいとか、そういうのはどうでもよくて、そういう(哲学を持った)チームが増えれば、Jリーグ全体の繁栄につながっていく」と熱く語った。

 湘南MF永木亮太主将(26)も「(ハリルホジッチ監督に)Jリーグがそういう風に言われているということは、Jリーグがもっともっと世界に近づいていかないといけないということだと思う。でも今日は球際も激しかったですし、あとは最後の精度とかが出てくれば、もっともっとレベルは上がってくる」と“Jのプライド”をのぞかせた。