浦和MF柏木陽介(27)が“置き土産”でチームに勝ち点3をもたらした。

 序盤から鹿島のMF陣にマンマークを受け、攻撃の起点になれなくなった。パス配給源を失ったこともあり、チームは攻撃の形を思うようにつくれず、後半23分にはDF森脇のオウンゴールで先制まで許した。

 それでも柏木は「自分が相手を引っ張っておけば、いずれ他があく」と、マンマークを引き連れてピッチを走り続けた。そしてじれずにパスを回し続けた結果、徐々に鹿島の運動量が落ちだした。相手のボランチに対するプレスも利きだし、先制を許した直後から、急にチームに好調時のリズムが戻ってきた。

 同点後の後半38分。柏木は自ら体力が尽きたと判断し、ベンチに交代を求めた。「でも、出ている限りは最後まで」と、最後の力を振り絞って敵陣で相手にプレスをかけた。強奪したボールは、森脇からMF関根につながり、決勝弾となった。

 黒子に徹して、去り際に勝ち越しゴールを演出してみせた。「うまく4人がかりで距離を詰めることができた。いつも前節の東京戦のようなパーフェクトな内容とはいかない。それでも落ち着いて戦って、90分の中で勝ち点3に持っていけるのが、うちの成長だと思う」と胸を張った。

 次節のアウェー鳥栖戦は、仙台と並んで「鬼門」と言われるカード。柏木は「勝つことより、負けないこと。大事なのは次。おごることなく、調子に乗らず、ハードワークと我慢を心掛けて戦いたい」と早くも気持ちを切り替えた。