浦和MF関根貴大(20)が1年越しの“失われたデビュー戦”で、チームを優勝に導く活躍をみせる。チームは7日にホームで清水と対戦。関根は昨年3月23日、同カードで後半開始から出場。リーグ戦デビューを果たしたが、スタジアムに有望な新人を迎え入れる歓呼の声は響かなかった。

 直前にサポーターが差別的な横断幕を掲げた問題で、Jリーグから無観客試合の処分を受け、史上初めて無人のスタンドの前で試合が行われていた。関根は後半31分、MF原口の同点ゴールの起点になるなど、いきなりの活躍をみせた。「自信になりました。やっていける手応えを感じた」とデビュー戦を飾ったが、それでも活躍をたたえる声援は聞けなかった。

 今季、関根は先発に定着。5月には3試合連続得点を決めるなど、首位を走るチームを攻撃面で引っ張ってきた。そして因縁のカードを、第1ステージ優勝の決まる状況で迎えることができた。「たくさんの声援がモチベーションになってきた。やはり、サポーターのみなさんの力なくして、いい試合はできない」。浦和が勝利し、G大阪が神戸に負ければ、優勝決定。瞬間を見届けるべく、1年前は無人だった会場は、サポーターで埋まることが期待される。デビューの喜びを共有できなかった分、今回は果敢な攻撃でスタンドを何度も沸かせるつもりだ。