甲府対仙台戦で前半終了のホイッスルが2度鳴るという事態が起こった。前半のロスタイムの掲示は「1分」。しかし、1分を経過する前の約20秒程度で家本主審は笛を吹き、前半戦を終了させた。

 家本主審の判断は、ルール上ではなんの問題もなく、むしろ正しい判断といえる。ロスタイムの表示はあくまでも目安であって、マストではない。

 間違いを認め、プレーを再開させることは勇気の要ることで、再開して時間通りに前半を終えたことは褒めるべき。しかし、40秒程度ならば主審の裁量の範囲内という見方もある。前半の終了を考えるなら、そのまま流した方が、よりスムーズな試合進行だった。

 「ロスタイムの笛」と言えば、97年10月26日の日本-UAE戦が最も強烈な印象を残す。当時はロスタイムの表示はなく、相手GKの時間稼ぎなどもあり、誰もが5分以上のロスタイムを予想も、コスタリカ人のバデージャ主審は1分40秒で終了の笛を吹いた。

 格下UAEに、ホームで引き分けたもどかしさと、短いロスタイムでサポーターが暴走し、国立競技場を囲み、生卵や10円玉、パイプイスなどが日本代表チームのバスに投げられた。結局、代表選手はワゴン車などに分乗して、国立を脱出した。たかがロスタイム、されどロスタイム。【盧載鎭】