“柏のエース”FW工藤壮人(25)が、“柏のレジェンド”北嶋秀朗(37=現熊本コーチ)を超えた。

 川崎F戦の前半15分。柏は中央を得意のパス回しで崩すと、MF小林祐介(20)がDF裏へ抜けた工藤へラストパス。これを同FWが左足で流し込んだ。

 工藤はこれでJ1通算53点。北嶋の52点を抜き、J1最多得点のクラブ記録を塗り替えた。ボールがゴールに吸い込まれると、工藤は北嶋がそうしたように右手で左胸のチームエンブレムをポンポンとたたいて喜びを表現した。

 後半45分には交代するMF大谷秀和主将(30)からキャプテンマークを託され、北嶋と同じ「背番9の主将」となった。工藤は試合後、「これで胸を張って柏の9番と言える」と喜んだ。

 北嶋は、工藤が下部組織時代からあこがれていた先輩。プロ入りしてからは、年下の工藤にもアドバイスを求め、自分を高めようとする姿勢に感銘を受けた。試合後のファミレスや、アウェーの遠征ではホテルのカフェで「FW論」について熱く語り合った。2人は「FWとしてどんなに守備を頑張って、どんなに良いプレーをしても、結局はゴール。そこで判断されてしまう」という思いを強くし、互いに競い合って得点を取ってきた。

 工藤は川崎F戦後、「今度は、だれも超えられないくらいの壁(記録)をつくらないといけない。自分自身だけでゴールを取れるわけじゃない。周りの選手にも感謝しながら、どんどん高い壁をつくっていけたら」とさらなるゴール量産を誓った。