広島が、浦和に今季初めて土をつけた。立役者はU-22(22歳以下)日本代表FWで、8月の東アジア杯に臨むA代表にも予備登録されたFW浅野拓磨(20)。後半20分にエースFW佐藤に代わって出場すると50メートル5秒9の圧倒的なスピードを生かして空気を一変させた。

 出場からわずか2分後、一気にギアを上げて抜け出し同点弾。ガラス張りのブースで見守ったハリルホジッチ監督は、すぐ手元の資料に細かくペンを走らせた。御前試合でスピードと決定力をアピール。「常に代表というのは意識している。上位決戦で結果を残せたので自信になる」。さらに同39分にはドリブル突破からMF青山敏弘(29)の決勝弾を呼び込んだ。完全アウェーの地で、三重からやって来た家族の前で、主役になった。

 同じシステム、相手の監督も主力の多くも元広島という因縁の対決。前半はほとんど好機をつくり出せなかった。ハーフタイムに森保監督のカミナリが落ちた。これで目が覚めた。クラブ記録のリーグ9戦無敗、第2Sは開幕3連勝で堂々の首位。年間勝ち点も1位浦和との差を2まで縮めた。森保監督は余韻に浸ることなく「もう1度、チャンピオンシップで戦わなくてはいけない」と浦和への強いライバル心を口にした。【八反誠】