リーグ戦で年間順位17位に低迷する清水が、屈辱的な敗戦を教訓に残留へ仕切り直す。明日12日のアウェー鳥栖戦に備え、チームは10日、清水三保グラウンドで調整した。9日の天皇杯2回戦は格下の藤枝MYFCにまさかの逆転負け。勝ってリーグ戦に弾みをつけたかった一戦を落とし、チーム全体に不穏な空気が漂った。

 田坂和昭監督(44)は早速行動に移した。試合後にクラブハウスに戻り、徹夜で映像を分析。課題のプレーを編集し、急きょこの日の練習前ミーティングで選手に見せたという。映像の詳しい内容は明かさなかったものの、同監督は「できなかったことは全部出した。試合に出た選手は酷だったかもしれないが、昨日の試合をリーグ戦でやってはいけないから」と意図を説明した。

 チームは予選敗退が決まっていたナビスコ杯に続き、天皇杯も終戦。今季はリーグ戦しか残っていない。ただ、裏を返せば残留に向けたリーグ戦に集中できる環境は整ったともいえる。FW大前元紀(25)は「誰が試合に出る、出ないとかの話ではない。リーグ戦だけになったことをプラスに捉えてやっていく」と表情を引き締めた。

 残留のボーダーラインとなる15位新潟との勝ち点差は5。1試合でも負ければ、その時点で残留が遠のくことになる。「昨日の試合が何かの知らせだと思って、やっていくしかない」と田坂監督。泣いても笑っても8試合でクラブの運命は決まる。残留に向けて1つにならなければいけない時がきた。【神谷亮磨】

 ◆清水の天皇杯藤枝MYFC戦VTR 2-0から4失点を喫し、逆転負けした。前半11分にFW北川のクロスをMF河井がヘディングで合わせて先制。同15分にはMF石毛がミドルで追加点を奪った。しかし、同24分に1点差とされると、28分には最終ラインの背後を突かれ、同点とされた。後半も相手の勢いを止めることができず、24分に右サイドを崩されて追加点を許す。27分にMF竹内、FW大前を投入するも、同40分に痛恨の4失点目。格下相手に敗れ、04年以来、11年ぶりの初戦敗退となった。