清水は鳥栖と引き分けに終わった。前半は相手に主導権を握られるも、後半は圧倒的にゲームを支配。FW鄭大世(31)とFWウタカ(31)の強力2トップで何度もゴールに迫った。しかし、相手の堅固な守備を最後まで崩しきれず、痛恨のドロー。田坂和昭監督(44)の就任後もチームはこれで5戦勝ちなしとなり、J1残留が厳しくなってきた。

 清水が序盤から劣勢に立たされた。ロングボール主体の攻撃を受け、自陣に押し込まれると、相手のロングスローから何度もゴールを脅かされ、クリアするだけで精いっぱいとなった。それでも、センターバックのDF角田誠(32)とDF平岡康裕(29)が体を張ってゴールを死守。田坂和昭監督(44)が「注意しなければいけない」と警戒していたセットプレーでも集中力を切らさず、はね返し続けた。

 ハーフタイムに指揮官は「相手に走り負けない、当たり負けないこと」と指示。前半はほとんどチャンスは作れなかったが、後半序盤から反撃した。DF六平光成(24)が積極的に右サイドを突破し、クロスを供給すれば、前節東京戦で加入後初ゴールを挙げたFW鄭大世(31)も同17分に左足ミドルでゴールを狙う。「チームを助けるプレーをする」と宣言したエースは前線で走り回り、チャンスを待った。

 しかし、この日もゴールは遠かった。25分にはMFデューク(24)のシュートにMF白崎凌兵(22)が飛び込むも、わずかに合わない。同28分にFW大前元紀(25)を投入してさらに攻めた。30、36分と鄭が決定機を迎えたが、相手GKのビッグセーブで阻止された。

 9日の天皇杯で格下のJ3藤枝MYFCに敗戦し、田坂監督は「あの試合を教訓にしなければいけない」と選手を叱咤(しった)してこの一戦に臨んだ。だが、圧倒的に攻め込みながらも、最後まで相手を崩せず無得点。チームは監督交代後も5戦勝ちなしで15位新潟との勝ち点差も5のまま。今求められているのは内容ではなく、結果だ。勝てない清水のJ1残留が厳しくなってきた。【神谷亮磨】