G大阪が貴重なアウェーゴールを挙げ、決勝進出への希望をつないだ。広州恒大(中国)との第1戦は逆転負け。前半13分にオウンゴールで先制したが、逆転を許した。それでも優勝候補の猛攻を全員で耐え、長谷川健太監督(50)がベンチ入り停止の中で1点差の惜敗。ホームでの第2戦(21日)は1-0の勝利でも優勝した08年以来の決勝進出が決まる。

 赤く染まった敵地4万8946人の大観衆が静まり返った。気温31度と蒸し暑さが残る広州でG大阪が貴重なアウェーゴールを挙げた。前半13分、右サイドを駆け上がったMF阿部が鋭いクロスを入れた。FWパトリックと競り合った相手DFがオウンゴール。幸運な形で先制した。

 1-2と逆転は許したが、厳しい条件を耐え抜いた。日本代表DF丹羽を累積警告で欠き、DF藤春も負傷で欠いた。さらに長谷川監督が前回退席処分を受け、ベンチ入りできなかった。代役を務めた片野坂ヘッドコーチは「試合前に監督といろんな状況に応じて話をしていた。アウェーゴールを早い段階で取れたのは大きい」。FW宇佐美も「想像してた以上にうまく対応できた」とうなずいた。

 前日29日。公式練習を終え、広州のホテルで休養中の複数選手の部屋に何度もいたずら電話がかかってきたという。試合前も会場へ向かう途中に交通事故が起き、到着時間が遅れた。キックオフ直前に散水は行われず、ピッチ状態にも苦しんだ。それでも精神力が揺らぐことはなかった。

 全てはホームでの第2戦に委ねられた。単純明快、1-0で勝てば7年ぶりの決勝へ進むことができる。この日のアウェーゴールの持つ意味は大きい。片野坂ヘッドは「もう少しガンバらしい質の高い攻撃ができれば決定機は増える」。MF遠藤主将も「チャンスはある。今日やってきたことを生かせれば」。昨季のJリーグ3冠王者として、希望の光はつないだ。【小杉舞】

 ◆ACL決勝トーナメント ベスト16によるトーナメント。すべてホームアンドアウェー方式。2試合の得失点差で並んだ場合、アウェーゴール数、それでも並べば第2戦終了後に延長、PK戦を実施。優勝すれば12月のクラブW杯の出場権を獲得。日本勢の優勝は08年のG大阪を最後にない。