なでしこリーグの仙台レディースは、11日にエキサイティングシリーズ初戦日テレ戦(東京・多摩市陸上競技場、午後1時キックオフ)を迎える。発足から4年目で最高成績の3位でレギュラーシリーズを走りきったチームは、センターバックにDF千葉梢恵(24)を“秘密兵器”として起用し、悲願の初優勝を狙う。

 ベガルタで輝くためにやってきた。千葉梢が、初優勝の扉を開ける鍵を握る。今季加入し、先月末のリーグ最終戦でデビューを飾ったばかりの24歳。千葉泰伸監督(44)は「鍛えれば使えると思っていた。(デビュー戦の出来は)予想以上。レギュラー争いにも十分加わる」と期待する素材だ。4日に行われた紅白戦でも主力組センターバックに入り、「やるからには、DFなのでゼロに抑えたい」と意気込んだ。

 男子顔負けの「キック力」が最大の武器だ。定位置の最終ラインから、やすやすと前線へロングフィード可能で「小さい頃から団地で壁当てばかりしていた。飛ばせることが強みです」と胸を張る。守備が本職ながらパス精度は高く、配球センスにも優れる。

 日本代表MF川村も「仙台にいなかったタイプ。コズが前へ(ボールを)出せることで、ボランチの自分がもう1列前でプレーできる」。より敵陣深くで川村がボールを動かすことで推進力は増し、守備リスクも減るというメリットも。千葉梢は、なでしこ1部の「スピード感に慣れるのに苦労した」というが、メンバー外の時間に居残り練習を続けるなど、たゆまぬ努力で成長している。

 地元・仙台出身。「仙台でやれることに感謝して、チームにいかに貢献できるかを一番に考えています」。幼い頃から、Jリーグを戦う仙台トップチームは身近で「好きすぎて(当時のエースFW)マルコスの家までサインをもらいに行ったこともありますし(笑い)。FW藤吉さんも好きでした」と言う。だからこそ「1試合でも多くプレーして地元を盛り上げられたら」。大好きだった先輩たちを超える日本一に挑戦する。【成田光季】

 ◆エキサイティングシリーズ レギュラーシリーズ上位6チームによる1回戦総当たりのリーグ戦(全5節)と、下位4チームによる2回戦総当たりリーグ(全6節)。上位リーグは、レギュラーシリーズの順位に準じて、1位6点、2位5点…6位1点の勝ち点を与えられた状態で始まり、年間優勝をかけ戦う。

<千葉梢恵(ちば・こずえ)アラカルト>

 ◆生まれ 1991年(平3)10月7日、仙台市生まれ。

 ◆サッカー 小3から旭ケ丘スポーツ少年団で始める。母親から「サッカーは女の子がやるものじゃない」と言われていたというが、小2まで学校の作文に『少年団に入れて』と2年間書き続け入団。

 ◆紅一点 同少年団、台原中と男子に交じり「ずっと女子1人」。台原中では3年時に男子サッカー部でレギュラーを張った。

 ◆常盤木学園高 女子サッカーの名門へ進学し「恩師」阿部由晴監督の下でメキメキ成長。主将として夏冬計4度の日本一を経験。U-17日本代表、U-19同代表候補にも選ばれた。

 ◆早大卒→コーヒーチェーン店→なでしこ 「服が好きなので服飾関係の会社へ就職しようとしていた」が、大学4年の全日本インカレ初戦敗退で「悔いが残る」とサッカー継続を決断。帰仙後はJR仙台駅ビル内のスターバックスでアルバイトをしながら、母校常盤木学園で練習し“1浪”で仙台加入。

 ◆勤務先 「東北初のDIYホームセンター」ダイシンの幸町店。

 ◆家族 両親と姉、妹。「3姉妹で唯一サッカーに興味を持った」。

 ◆サイズ、血液型、背番号 168センチ、59キロ、O型、背番「2」。