J1残留を目指す山形のGK山岸範宏(37)が、再昇格につなげた昨秋の快進撃を再現する。3日の湘南戦で19試合ぶりに勝った勢いで、17日ホーム甲府戦で今季初のリーグ連勝を狙う。チームにとって記念すべきシーズンとなった昨年も初連勝は10月に入ってからだった。14日J3藤枝との天皇杯3回戦を挟んでの正念場を白星で飾り、残り4戦で勝ち点差6の15位新潟をまくってみせる。

 逆襲の秋が始まる。冷たい風が吹きすさぶ8日、天童市内で1時間ほど汗を流した闘将山岸の体は、火照っていた。「去年と相手は違うけど、ポジティブな要素があっていい。目の前の試合に勝ちたい、それだけ」。17日のホーム甲府戦で連勝すれば、まさに昨秋の再現となる。昨年の10月19日、J2岡山戦で初めて連勝を決めると、その後公式戦9戦6勝の快進撃で、J1昇格と天皇杯準優勝を勝ち取った。

 何としても甲府を撃破し、J1残留をたぐり寄せる。クラブ史上初となるJ1で5戦連続勝ち点奪取を狙って乗り込んだ5月16日のアウェーで0-2と完敗。以降18戦連続で勝ちを逃し続けた。因縁の相手に山岸も「ひどい負け方をした。勝つきっかけを失った相手」と振り返った。

 残り4試合で15位新潟との勝ち点差は6。厳しいが可能性がなくなったわけではない。18チームになった05年以降、30試合消化時点で降格圏にいながら、逆転残留を決めたのは過去4チームある。10年の神戸は最終節で浦和に4-0で勝ち、首の皮一枚残した。その試合で浦和GKとして先発していた山岸は「神戸の試合にかける思い、気合は相当入ってた」と回想しつつ「過去は過去。俺たちは勝ち点計算しないで1戦1戦やるだけ」と前を向いた。

 14日の天皇杯3回戦を挟み、17日の甲府戦まであと約1週間。山岸はいう。「目の前の試合にいかに準備できるか。ピッチ上の結果がすべて」。昨年モンテディオに奇跡を起こした山の神が、再びチームを救う。【高橋洋平】

 ◆J1の逆転残留 残り4戦で降格圏から自力で脱出、残留したのは過去10年で08年千葉、10年神戸、12年新潟、14年清水の4チーム(入れ替え戦勝利で残留の08年16位、磐田除く)。17位の新潟以外はすべて16位から。最大勝ち点差も新潟の5で、山形が残留すれば18チーム移行後、最大差の逆転となる。