年間勝ち点4位のG大阪FW宇佐美貴史(23)が、逆転のチャンピオンシップ(CS)出場と得点王を狙う。今日22日の最終節はリーグ戦では最後となる万博に山形を迎え撃つ。21日は来季から使用する大阪・吹田市内の新スタジアムで初練習。エースは新本拠地で士気を高め、思い出が詰まった万博で力を出し切ると誓った。

 満員になったスタンドを想像しながら、宇佐美は静かに闘志を燃やした。来季から使用する新スタジアム。実際に芝の傷み具合を確認するため設けられた初練習で、ピッチに立ったエースは目を輝かせた。「(スタンドとピッチが近く)声援も罵声も余裕で聞こえる距離。いろんな意味で楽しそう。来年も(新本拠地で)できればいいですね」。今冬の海外移籍も取りざたされる中、心を躍らせた。

 一方で感慨深い気持ちにもなった。物心がつく前から通い詰めていた万博記念競技場は、山形戦が最後のリーグ戦。「サッカーを好きになるきっかけをくれて、一番初めに触れたスタジアム。それは変わらない」。

 幼い頃からG大阪ファンで、家族全員でゴール裏から声援を送った。ピッチから向かって最前列の右端が宇佐美の特等席。「(97年に)エムボマがベルマーレ(平塚)戦で決めた得点(リフティングボレー)は記憶として定着している。ジュビロの全盛期に万博が満員近くなったのは一番覚えている」と、思い出は尽きない。

 歴史の幕が閉じる一戦でエースに期待が懸かるのは、逆転のCS出場と得点王だ。チームは年間4位でCS圏の同3位東京とは勝ち点2差につけ、得点ランクは首位の川崎F大久保と3点差の2位(19点)。その中、出場した公式戦の山形戦は3試合7発と好相性で「ゴールを決めて次のステージ(CS)へ上げることができればスタジアムへの恩返しになる。自分自身としても(万博の)ラストで決めたと思いたい」。デビュー戦も、初ゴールも万博。有終の美に向けて、新本拠地から得たパワーを最後の万博で爆発させる。【小杉舞】

 ◆G大阪新スタジアム 今年10月、大阪・吹田市にある万博記念公園スポーツ広場内に完成。名称は市立吹田サッカースタジアム。サッカー専用で約4万人収容。全席屋根でカバーされており、スタンド最前列からタッチラインまでは約7メートル、ゴールラインまでは約10メートル。FIFAの規定するクラスは最高位で国際試合開催が可能。