山形が22日、今季リーグ戦全日程を終えた。今年昇格も年間総合の順位は最下位となり、再びJ2降格が決まってしまった。低調だった今季の戦いぶりが、本紙担当記者の目にはどう映ったのか? 分析してみた。

 山形にとって4年ぶりのJ1は、4勝12分け18敗で年間最下位に終わった。J1との差についてGK山岸は「細かい積み重ねが得点を生み、細かいミスが重なって失点につながる。チームとしての精度がまだまだ足りなかった」と総括した。

 1年でJ2に降格した要因の1つが、解消されなかったリーグワーストの得点力だ。特にブロックをつくって引いて守る相手に対して、崩しのアイデアがなかった。前後期ともに完封負けした甲府戦(10月17日)後、石崎監督は「引いた相手に対しての攻撃はまだまだやっていかなければ」と話したものの、シーズンを通じて改善できなかった。

 試合運びにも課題を残した。徹底したプレスで相手を押し込む時間帯はあったが、勝ちきれなかった。DF石川は「戦い方があまりにも真面目で一生懸命過ぎた。したたかでゲーム巧者で、それが90分間の結果につながるようなチームにならないと」と分析した。リーグでは得点後10分以内の失点が5度。ハイプレスと、リスクを冒さない臨機応変な守備との切り替えがうまく機能しなかった。

 激しい定位置争いもなかった。昨年は天皇杯で出場機会を得たFW山崎、川西がJ1昇格へけん引した。一転今季は、シーズン中盤以降の練習試合で低調な内容が続き、石崎監督が「練習試合をする意味があるんか」とこぼす日もあった。チームに刺激を与える選手が台頭せず、メンバーが固定化されてしまった。

 1年でのJ2降格を経験として肯定するには、再度J1へ昇格するしかない。降格が決まる前の10月21日には石崎監督の来季続投を発表し、クラブとしてブレない姿勢を見せた。J1での敗戦から得た糧を無駄にせず、来季3年目を迎える「石崎プレスサッカー」をより進化させる。泥臭くハードワークを貫き続け、1年後再び笑うのは、山形だ。【高橋洋平】