山形を運営する株式会社モンテディオ山形は26日、同市内で臨時株主総会を行い、高橋節社長(65)の辞任を議決した。株主の同県スポーツ振興21世紀協会の細谷知行理事長(66)は高橋社長に対して11月上旬に、J2降格の責任や観客動員数の伸び悩みを理由に退任の打診をしていたことを明かし、任期途中での事実上の解任となった。後任は同県産業技術振興機構の森谷俊雄専務理事(61)が新取締役に就任し、12月1日の取締役会で社長に選任される見込みだ。

 電撃決着だった。12月1日に予定していた臨時取締役会を前に、3株主の発議により急きょ開催が決まった26日の臨時株主総会で、高橋社長の辞任が決まった。株主会社モンテディオ山形の株を49%保有する同県スポーツ振興21世紀協会の細谷理事長は社長辞任の経緯を説明した。「11月上旬に辞任の打診をしていた。だが中旬の報道で『自らの進退を諮る』という表現があった。退任の意向、意思について再度確認させていただいた。その通り辞めていただける確証が分からなかった」と、緊急で臨時の株主総会を開催した意図を説明した。

 細谷理事長は退任動議について「3株主の意向」と前置きをし、辞任理由を語った。「既に石崎監督の留任は決まっていた。だが果たして誰も責任をとらなくて、いいものかと考えた」。さらに過去5年間でJ2降格チームの例を引用し「15ある中で12チームが監督、社長および双方が責任をとっていた。その内7チームで社長が退任した。社長は全般的な責任を負う立場。けじめをつけてもらった」と話した。

 13年8月に公益社団法人から株式会社に移行し、2年連続黒字見込みの高橋前社長の経営手腕が、株主には評価されなかった。細谷理事長は「今季も1億円ほどの黒字が見込める。それほどの黒字になるのであれば、もう少し選手の補強を工夫して投資する部分があっても良かった」と指摘した。

 観客動員面での苦戦も影響した。前回J1昇格時の09年は平均約1万2000人を動員したが、今季は平均約1万人に終わった。細谷理事長は「2000人ちょっと切っている。もう少し努力が必要だった」。劇的なJ1昇格を果たしたのにもかかわらず、観客動員数もJ1最下位に沈んだ。

 J2降格が決まる直前の10月21日に、石崎監督の来季続投を発表した。社長退任による指揮官の去就の影響について細谷理事長は「石崎監督の活躍でモンテが支えられている。(続投に)異論はありません」と話した。J1昇格からわずか1年でのJ2降格。早期J1復帰を目指す山形が下した決断は、現社長の事実上の解任だった。