J2磐田が、23日のリーグ最終節で3年ぶりのJ1復帰を決めた。昨年9月から就任したOBの名波浩監督(42)のもと、チームは再生した。その背景には何があったのか。「ジュビロ復活の理由」と題して、“名波改革”を振り返り、来季を見据える。

 第3回は、入場者数増を達成した名波監督の発想とクラブ側のアイデアに迫る。

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 J2で2年目となった今季、磐田の1試合平均の入場者数は1万人を達成した。昨季は史上最低の8774人だったものの、名波監督の発想とクラブ側のアイデアによって盛り返した。

 「満員のスタジアムで試合をしたい」と言う同監督は非公開練習をしなかった。連日、多くのサポーターが足を運び、最終節・大分戦前となる最後の練習には約350人が集結。同監督は解説者時代、10年W杯南アフリカ大会で準優勝したオランダ代表が練習公開したことを覚えている。「非公開はかっこつけてるだけだ」と確信したという。

 多くのサポーターに「見られる」ことで、選手はミニゲーム中に激しく接触した際、倒れたチームメートに手を差し伸べるようになった。「ぶつかって、そのままは人としてよくない。サポーターが見ていれば、しなくなる」と同監督。選手の練習態度の変化にもつながった。

 またクラブは選手によるサッカースクール訪問を初開催した。ホームゲーム後、シーズンチケットホルダーと選手による交流イベントも企画。選手にとってもサポーターの温かさを実感できる機会となり、プロ意識を高める契機となった。来季以降も交流イベントは継続される予定だ。

 来季はエコパスタジアム開催も視野に入れており、さらなる来場者数を見込める。サポーター増、入場者数増はJ1での試合内容や成績にも左右される。J2で踏み出した1歩をJ1にもつなげるために-。チーム、クラブ、サポーターのトライアングル強化が一層、必要になる。(おわり)【保坂恭子】