J2磐田が、23日のリーグ最終節で3年ぶりのJ1復帰を決めた。昨年9月から就任したOBの名波浩監督(42)のもと、チームは再生した。その背景には何があったのか。「ジュビロ復活の理由」と題して、“名波改革”を振り返り、来季を見据える。

 第2回は、名波監督が自ら「出馬」した補強に迫る。

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 磐田のJ1昇格は、新加入選手の貢献度も大きい。選手獲得は強化部だけでなく、名波監督が自ら「出馬」したことも補強成功につながった。

 元イングランド代表FWジェイ(33)をはじめ、MFアダイウトン(23)、GKカミンスキー(24)の新外国人勢はチームの「中軸」を担った。特に20得点でJ2得点王に輝いたジェイは昨季、タイの環境になじめずに16試合6得点。Jリーグでプレーしたいという本人の希望を受け、名波監督が直接交渉した。当時、他Jクラブやイングランド・プレミアリーグ、中国から誘われていたジェイも「名波監督の下でプレーしたい」と年俸面で劣る磐田を選択した経緯がある。

 U-22日本代表のMF川辺駿(20)も同監督が才能にほれ込んでJ1広島から獲得した。ユース世代から代表選出され、シーズン中盤から先発に定着し33試合3得点。他クラブから「どこで見つけてきのか」と問い合わせを受けるまでに成長を遂げた。獲得検討時、名波監督は選手の性格面など細かな部分まで重視。広島の育成やU-19代表の両スタッフに練習態度を確認していた。監督の直接出馬や性格まで総合的に判断した上での選手補強。それはJ1の来季にも生かされるに違いない。【保坂恭子】