INAC神戸のMF澤穂希(37)が今日27日、新潟との皇后杯決勝(等々力)で現役最後の試合に臨む。2大会ぶり5度目の日本一を懸けた一戦へ、26日は神戸市内で最終調整。自身の引退試合が決勝という最高の舞台となり「ゴールは明日しか取れない」と打ち明けた。

 現役生活に別れを告げる時が来た。この日、神戸で迎えた最後の練習は「実感がないですね」とニッコリ。一方で有終の美を飾る心構えはできていた。勝利が一番だが、笑顔で“わがまま”を口にした。「最後は自分の得点のために、貪欲にいこうかなという感じでいます」。自身が明確にゴール宣言するのは最近では珍しい。

 練習終了直後には松田監督からも「最後に点を取りたいね」と声をかけられた。最近はボランチを組むMF伊藤美を前に出し、守備に重点を置くことが多かった。だが、指揮官は「バランスを取れていればいい。もっと攻撃に関わればいいと思っていた。本人がその気になってくれるのは大歓迎」。澤の引退でチームの一体感は高まっており、前がかりな背番号8は優勝への推進力にもなりそうだ。

 準決勝後には「正直しんどかった」と漏らした37歳だが、体の状態も万全でフル出場を予定する。「最後の特別な1試合。悔いなく楽しみたい」。自らのゴールで優勝というハッピーエンドへ、澤のシナリオは完成している。【松本航】