仙台DF村上和弘(34)が28日、現役引退を表明した。今季限りで仙台との契約が満了となり、8日には合同トライアウトを受けてはいたが、自身も先発出場した26日天皇杯・柏戦の前日に引退を決断した。チームに負傷者が出て、出場機会が巡ってきた状況ではあったが「これまで気持ちでプレーしてきた選手が、体の不具合などを考え、気持ちだけではダメだと思ってしまった」と語る。真っ先に妻布紀子さんに報告、10歳の長男魁翔くんは泣いていたという。

 村上は三重・四日市四郷高から99年に横浜F(当時)と合併直後の横浜へ入団、01年に当時J2の仙台へ移籍、そこから6年間を中心選手として活躍し、04年には主将まで務めた。その後、川崎F、大宮を渡り歩き、昨年途中に仙台へ復帰していた。自らを「ちょっとした実力と8割から9割の運でやってきた選手。自分を良いプレーヤーと思ったことは1度もない」と振り返るが、サイドバックの位置から勇敢に攻撃参加する姿勢は相手チームの脅威となり、同時に多くのサポーターを魅了した。

 仙台にはトータル7年半在籍した。00年に横浜を戦力外になったとき「トライアウトもない時代に拾ってくれたチームですから」と感謝し、何より「仙台で家族を持つことも出来た、もちろん一番の思い入れがあります」と、笑顔を見せた。今後は仙台アカデミーのスタッフとしてチームに残り、指導者としての道を歩んでいく。