驚異的な大会史上最長タイのゴールだ! 中京大中京(愛知)のMF辻星哉(3年)が、2回戦の札幌大谷(北海道)戦で50メートル(日刊スポーツ調べ)の直接FKを決めた。2-0の後半12分、センターサークル内から直接、放り込んだ。

 スタジアムに驚嘆の声が響き渡った。後半12分。辻はセンターサークル内でファウルをもらうと、素早い再スタートで右足を振り抜いた。ボールはそのまま相手GKの頭上を越してゴール右上へと吸いこまれた。

 「相手のGKが前に出てくるのは分析して分かっていた。狙っていました。練習試合で何本も決めていたんですけど、公式戦は初めて。気持ち良かった」

 ロングキックは大得意だ。小学生の頃から、家の中でテニスボール大の小さな柔らかいボールを投げてもらい、落とさずに蹴る秘密の特訓を続けてきた。ボールの中心を的確にとらえて遠くへ飛ばす。「あとは、コンパクトに足を振り抜くことかな」。岡山監督も「選手権の場面で決めたのは驚き」と度胸をたたえた。

 仲間へささげたゴールだった。主将のMF石川将が先月左太もも裏を肉離れし、離脱中。辻は石川将から「お前がプレーで引っ張ってくれ」とキャプテンマークを託されていた。主将の気持ちを受け取った辻は「石川が回復する時間ができるように勝つから」と返した。「自分がやらなきゃなと思っている。次もロングシュート狙っていきたい」。今日3日の前回大会王者・星稜戦でもスーパーゴールを再現する。【小杉舞】

 ◆高校サッカー選手権の長距離ゴール 過去に50メートルが2度記録されている。80年度大会の1回戦北陽戦で、西目農のFW小松晃(現明徳義塾監督)が1-1となったキックオフ直後に味方が出したボールをセンターサークル付近からゴール。04年度準決勝国見戦で、鹿児島実のDF西岡謙太(元J2水戸)がハーフウエーラインやや左から高々と蹴り上げたボールが風に乗ってゴールに吸い込まれた。直接FKでは45メートルが記録されており、03年度の開幕戦、仙台育英のMF石井裕一が奈良育英戦で得点。