矢板中央(栃木)のMF坪川潤之(ひろゆき=3年)が、開始29秒&45メートル弾を決めた。こぼれ球を拾って胸トラップし、相手GKが前に出ているのを見逃さず、センターサークル付近から自慢の左足を振り抜いた。蹴った瞬間「入ると思いました」と手応え十分だった。実は相手GKが前に出る癖があると知っていた。「外れても、遠くからシュートを打たれたら、GKも前に出にくくなるはず」。GKをけん制する狙いがあった。

 名将からの金言もあった。かつて帝京を6度の優勝に導いた古沼貞雄氏(76)が、現在はチームのアドバイザー。前夜には「先手必勝!」と先制点の重要性を諭された。さらに坪川は月に1度の古沼氏の指導の中で「シュートはダイレクトで。少ないタッチ数で」という助言を胸に刻んでいた。この日のスーパーゴールは、そんな“古沼イズム”を継承、具現化したものだった。