星稜(石川)が4大会連続で4強入りを決めた。野球では92年夏の甲子園で注目された明徳義塾戦に3-0で快勝。前半を2-0で折り返したハーフタイム。河崎監督から「1点が勝負!」とゲキが飛んだ。後半14分、発奮した主将のMF阿部が左足ミドルでこの試合2点目をゴールへ突き刺し、ダメを押した。阿部は「狙っているところだった。迷わず振れた」と喜んだ。

 前日4日。部員が集まった宿舎の部屋に阿部の熱い声が響き渡った。「このチームで1日でも長くやりたい」。そしてもう1度大会中の合言葉を確認した。「河崎監督を決勝に連れて行こう」。主将の言葉がイレブンの胸を熱くさせた。

 河崎監督は前回大会前に交通事故に遭い負傷した。入院し、指揮を執れなかった。前回のチームは「監督のために」という思いを持って見事に初優勝。しかし、指揮官自身はテレビ越しに教え子を見守っただけで、2大会前の準優勝の雪辱を果たし切れていなかった。「決勝で負けるのは本当に悔しい」といまだに責任を感じている。その気持ちを知るからこそ、DF加藤は「監督を絶対優勝させたいという思いがみんなにある」と言い切った。真の「全国優勝監督」にするため、気持ちを1つにした。

 4大会連続の4強進出。星稜は黄金時代に入りつつある。OBの豊田(鳥栖)も「この時期が永遠に続くんじゃないかと思ってしまうぐらい」と強さに驚いた。連覇まであと2勝。準決勝の相手は強豪・東福岡だ。河崎監督は「東福岡さんは脅威。勝っているものは1つもないんじゃないですか」と警戒した。ただ、勢いはまだまだ止まらない。【小杉舞】

 ◆4大会連続4強 星稜が12年度の4強、13年度の準優勝、昨年度の優勝に続いて準決勝進出した。首都圏開催となった76年度以降、4大会以上連続で4強進出は3校目(4度目)。79~83年度の韮崎(山梨)が5大会連続、国見(長崎)が89~93年度と00~04年度に5大会連続4強を唯一2度記録している。国見は00~03年度に4大会連続で決勝に進出し3度優勝した。