日本一の壁は高かった。国学院久我山(東京A)は司令塔MF名倉巧(2年)ら中盤選手が執拗(しつよう)なマンマークを受け、持ち味のパスサッカーを封じられた。0-5の完敗に名倉は「何もできなくて情けなかった。今までの相手と違い、マークが緩くなる瞬間がなかった」と脱帽した。

 敗れはしたが、文武両道の久我山スタイルで過去最高の準優勝と歴史を刻んだ。サッカー部のスポーツ推薦は1学年9人で、中学3年時の9教科の成績が5段階で計30以上が必要など、学業の壁も高い。朝練習禁止、平日2時間の限られた練習の中で速いパス回しとボールコントロールを徹底して磨き、今大会は練習試合を含め未勝利だった前橋育英など、強豪を連破した。主将のDF宮原は「この結果は後輩たちに自信を与えられた」と話した。

 今大会の快進撃で、来季はさらに相手に研究される立場となる。2年生の名倉は「久我山スタイルを貫くのと同時に、進化させていかないと全国に出ることも難しくなる」と自分に言い聞かせた。DF宮原から「日本一をとって、この悔しさを晴らしてほしい」とエールを受け、名倉は「どんなマークでも外してターンする技術を磨いてまた、戻ってきたい」と誓った。【岩田千代巳】