昨季J1で4位の東京が、チョンブリ(タイ)を9-0で圧倒し、12年以来のACL本大会進出を決めた。前半6分にオウンゴールで先制すると、今季加入したFW阿部拓馬(28)が追加点。同じく新加入のMF水沼宏太(25)DF駒野友一(34)ら新戦力が2得点3アシストの活躍で、城福浩監督(54)のもとアジアへの扉をこじ開けた。1次リーグでは全北(韓国)江蘇(中国)ビンズオン(ベトナム)とのE組に入り、23日にアウェー全北戦で開幕を迎える。

 東京の新たな力が、次から次へと台頭し、チョンブリとのスコアは開いていった。1点リードの前半9分。まずはFW阿部がゴール左でボールを受けると、素早いフェイントをかけて右足シュート。後半10分にDF駒野がクロスで5点目をアシストすると、同16分にはMF水沼が右足ボレーでのゴールに加えて2アシストをマーク。新加入選手だけで2得点3アシストで5ゴールを演出し、城福監督は「高いレベルで競争できたことが大事」と9発圧勝を喜んだ。

 5年半ぶりに戻った同監督のもと、新戦力が集まってきた。阿部には甲府との契約を終えた昨オフ、残留オファーも含めて5クラブから殺到。昨季王者の広島との2択に絞り、最後は「優勝をしていないチームを自分の力で優勝させたい」と東京入りを決めた。水沼もU-17日本代表時代の恩師のもとへやってきた。「(新加入でも)遜色なくプレーできている。みんなで(城福監督を)胴上げしたい」とタイトルを約束した。

 日本勢を代表して、16年シーズンの開幕戦に陽動作戦を仕掛けられた。チョンブリのメンバー表には、FW登録が6人も並んだ。守備の要であるブラジル人DFドスサントスさえもアタッカーの肩書。情報操作で揺さぶりをかけてきたが、1週間前に行われたヤンゴン(ベトナム)との予選2回戦に、分析担当をタイに現地派遣していた。収集した「生きた情報」を持ってすれば、動揺は全くなかった。

 アジアへの扉をこじ開け、23日にアウェー全北戦で本戦が幕を開ける。「どこを目指しているのかお伝えできたのではないかと思う」と同監督。強烈なインパクトとともに、16年シーズン幕開けののろしを上げた。【栗田成芳】

 ◆今季のACL本大会 23日に開幕する。出場32チームを8組に分け、各組で2回戦総当たりのリーグ戦を行う。A~D組が西地区、E~H組が東地区のクラブで構成される。各組上位2チーム(計16チーム)がホームアンドアウェー方式の決勝トーナメントに進出。準決勝までは東西の地区をまたいだ対戦は行われない。決勝は11月19、26日。