J3福島が陸上トップアスリートを目指す。今季、福島大陸上部の川本和久監督(58)がチーム初のコンディショニングアドバイザーに就任。同大学陸上競技場(福島市)で11日、選手たちと初顔合わせをし、指導した。

 陸上短距離指導の第一人者がチーム強化を買って出た。競技の違い、プロアマの垣根を超えスクラムを組んだ。川本氏はこれまで、日本記録を持つ女子400メートルの千葉(旧姓・丹野)麻美(30=東邦銀行)や同400メートル障害の久保倉里美(33=新潟アルビレックスRC)ら、数多くの日本代表を育成してきた。10年W杯(南アフリカ大会)の岡田ジャパンに招かれ、大会前に指導した経験もある。

 初指導には23選手と栗原圭介監督(43)らスタッフも参加。川本氏は「県民の1人として勝ってほしい。足はあっという間に速くなる。あとはどう生かすかです」とあいさつ。さらに「夢は(マンUとの)ユナイテッド対決。日の丸をつける選手が出てほしい」と、願いを込めた。

 各選手の30メートル走と5メートルスタートダッシュのデータ測定後、「動きだし」をテーマに約1時間指導。<1>頭部を使った重心移動<2>重心移動時の体の使い方<3>地面に効率的に力を伝える足の使い方などを説明した。

 年間目標は30メートル走で10%の走力アップ。今後も月2回ペースで指導する予定で、栗原監督は「練習メニューに取り入れていきたい」と意欲。MF石堂和人主将(33)は「今まで自己流だったのでためになった。新しい発見があって新鮮。マイナスにはならない」と歓迎した。【佐々木雄高】

 ◆川本和久(かわもと・かずひさ)1957年(昭32)12月5日、佐賀県伊万里市生まれ。筑波大-同大学院修了(コーチ学専攻)。卒業後は小学校講師などを務め84年、福島大陸上部監督に就任。米国留学を経て03年から同大教授。これまで日本陸連強化委員会女子短距離部長などを歴任し、数多くの日本代表選手を育てる。