J2清水は12日、鹿児島キャンプを打ち上げた。同キャンプで臨んだ対外試合は5勝1敗で終了。今季から指揮を執る小林伸二監督(55)は13日間にわたるキャンプを終え、開幕に向けたチーム作りの進捗(しんちょく)状況を「6割」と解説した。現地取材を終えた神谷亮磨記者(30)が、1年でのJ1復帰を目指すオレンジ軍団の現状を分析し、収穫と課題を浮き彫りにした。

 選手たちの必死さは感じている。Jリーグ・スカパー! ニューイヤー杯は2位となったが、練習試合は3戦全勝。結果にこだわる姿勢は伝わってきた。小林監督の「たくましくなった」との評価も納得できる。キャンプを通じ、見えてきた現状を整理してみたい。

 <収穫1:守備安定> 中央を崩されないブロックを形成。相手を追い込む流れを選手間で共有し、奪う位置を限定した。切り替えの意識も高い。同杯は3戦2失点で、同監督は「守備の意識は変わった」。2年連続で60失点以上を喫した守備の再構築は順調にみえた。

 <収穫2:FW上向き> 3日のJ3鹿児島戦でFW大前元紀(26)が2得点。練習試合で加賀美翔(21)金子翔太(20)北川航也(19)がそろって2得点と、アピール合戦は好材料。鄭大世(31)は実戦で無得点に終わったが「体はキレている」。デューク(25)も全体練習に合流し、層は厚い。最前線では複数のユニットが期待できそうだ。

 <課題:遅攻単調> ゴール前を固められた場面で打開のアイデアが少ない。ボランチを中心とした組み立てができず、ロングボール主体の単調攻撃が目立った。大前は「リスクのある縦パスを増やさなければ崩せない」と強調。速攻と遅攻の使い分けはポイントに。

 チーム作りの進捗状況について「6割」とした小林監督だが「土台はできつつある」と手応えをつかんだ様子。開幕までの少ない期間で、残り4割をどう仕上げていくのか注視したい。