仙台のMF三田啓貴(25)がキッカーを務めることが23日、分かった。今季の仙台はMF梁勇基(34)とのキッカー2枚看板となり、攻撃のオプションは確実に増えそうだ。東京から期限付き移籍で新加入した三田は、27日の開幕戦(対横浜)もボランチでの先発出場が濃厚。01~03年に在籍し「テル」の愛称で親しまれたMF岩本輝雄氏以来、仙台では約13年ぶりに左利きキッカーが誕生することになる。

 豪華な2枚看板になる。レフティー三田が、プレースキッカーに名乗りを上げている。今キャンプ中の実戦でも梁と並びセットプレーの場面で蹴り続けており「蹴らせてもらえるなら、俺が蹴って得点に絡みたい」と意欲を示している。居残り練習でも、今季新しく変わったボールとの相性を確かめるよう、何度も何度も打ち込んでいる。

 J屈指のプレースキッカーで左利きと言えば、横浜MF中村俊輔。仙台でもシーズンを通して任されたのは岩本氏以来になる。岩本氏は仙台時代の03年に「40メートルFK弾」の伝説を残すなど、左利きの名手だった。渡辺監督も「テル以来だよね。特にFK時は、左右いるだけで相手を惑わせることができるし、チャンスも広がる」と大きな期待を寄せる。これまで蹴り続けてきた梁は「FKは位置や角度に加え、利き足もポイント。タマ(三田)か自分か、どっちが蹴るかって悩めたら良いかも」と歓迎。攻撃面にも重点を置く今季、セットプレーを含めた攻撃全般で左の三田が賢攻の幅を格段に広げる可能性は高い。

 この長期キャンプで、すっかりチームにも溶け込んだ三田は、仙台でも「タマ」の愛称。東京在籍時、多摩川に迷い込んで話題となったアザラシの「タマちゃん」が由来で、かわいらしい顔立ちと、練習場で芝に寝転んだ姿が似ていたことから名付けられたという。日本中で人気者となった「タマちゃん」に負けず劣らず、サッカー界でも「タマ」は大人気? で、今オフには、渡辺監督自ら東京へ足を運んで口説いたほど。指揮官が選手に直接ラブコールを送ったのは監督就任後初のことでもあった。期待の三田のブレークは必至だ。【成田光季】