未完の大器がピンチを救う。仙台のGK石川慧(23)が、明日6日のナビスコ杯アウェー鳥栖戦で初先発する可能性が高まった。11年に入団後、期限付き移籍先のJFLソニー仙台、J3秋田では公式戦出場はあるものの仙台では初。日本代表GK六反勇治(28)、関憲太郎(30)が相次ぎ負傷離脱し、チャンスが巡ってきた。

 この日の練習には、偶然にも“恩師”が駆けつけた。石川慧が13年に在籍したソニー仙台の石川雅人監督が、練習見学に訪れていたのだ。同監督から「期待していますよ」とエールを送られると「力になります」と笑顔を見せていた。

 準備は万全。新潟出身の生真面目な男は「栄養オタク」を自称するほど体調管理を徹底している。公式戦21戦に出場した秋田では、元仙台戦士の熊林親吾(秋田U-18監督)や島川俊郎(J2山口)からコンディショニングを学び、秋田ノーザンブレッツのラグビー選手と一緒に筋トレをして「刺激を受けた」。GKコーチ不在のチームで自立した練習を積み重ね、J3元年だった14年に初めてシーズンを完走し、成長した。

 プロ入り6年目。仙台では出番に恵まれず「苦しい時期も過ごしたが、いつか試合に出る日が来ると信じてやってきた」。渡辺監督は「土台を作って帰ってきた。ゲームコントロールも非常に良くなってきているので臆せず臨んで」と背中を押す。「ロクさんとケンタロウさんの胸を借りるつもりで。最少失点に抑えて勝ち点を持ち帰る」と言葉に力を込めた。【成田光季】