東京がMF水沼宏太(26)の2得点で、ホームで貴重な先勝を収めた。上海上港に2-1で勝利。前半43分に直接FKを低い弾道で先制点を決めると、同点に追いつかれ迎えた後半20分に右足ボレーで決勝点。今季移籍金24億円で加入したエウケソンや、コンカ擁する爆買い軍団を退けた。第2戦はアウェーで24日に行われる。

 わずか22センチのボールが、ギリギリ通る狭さだった。前半43分に獲得した直接FK、キッカーは水沼だった。位置はゴールに向かってやや左寄りのペナルティーエリアライン付近。振り抜いた弾道は上海上港の壁の前に立つMF高橋の股下を通りながら、足にわずかに当たってコースが変わった。上を越えると読んだ相手の意表を突く低いシュート。ゴール左へ流れ込んだ。

 同点とされた10分後の後半20分、再びチャンスが訪れる。左サイドで切り返したDF徳永の右足クロスを、ファーで待ち受け右足ボレーで決勝点となった。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれ「自分も結果を出していなくて、この試合にかける思いは強かった」。今季鳥栖から加入した新戦力ながらJ1での先発は2戦。悔しさを結果で晴らした。

 公式戦5戦未勝利で泥沼状態の4月30日に行われた緊急選手ミーティングでは、生え抜き選手が発言する中で手を挙げた。「栃木や鳥栖では、あえてみんなで盛り上げようとしていた。けど、東京は覇気がないように感じる」。移籍組だから感じたことだった。誤解を恐れず伝えたからこそ、選手たちの心にも届いた。「1人1人がやるべきことを90分間通してできた」と水沼。言葉でもプレーでも、起爆剤となってアジア8強へ大きな勝利をもたらした。【栗田成芳】

 ◆水沼宏太(みずぬま・こうた)1990年(平2)2月22日、横浜市生まれ。あざみ野FCから横浜ジュニアユース-横浜ユースでプレーし07年にトップ昇格。10年に当時J2栃木SCへ、12年には鳥栖へ期限付き移籍し翌年完全移籍。今季から東京へ加入した。176センチ、72キロ。血液型A。父は元日本代表MF水沼貴史氏。