浦和が思い切った価格設定とアジアトップクラスの試合内容で、児童、生徒の心をつかむ。

 7月17日のさいたまダービー、ホーム大宮戦で、小中高生向けに全席種を550円で販売する。「Go(5)Go(5)Reds(0)」とチームを応援する意味を込めた価格設定。通常前売り価格5000円のS指定席も550円で、何と89%オフとなる。

 クラブは「大切な一戦を、多くの未来のファン・サポーターとともに戦いたいという願いを込めて、特別に行うものです」と説明する。集客アップはJリーグ全体の課題。今後長くサッカーを観戦してもらえる若年層を取り込むことで、サッカー人気自体の向上にも寄与する。

 選手たちの思いをくむ意味もある。MF柏木は常々「海外組も、みんなJリーグから巣立っている。子供たちが『プロになって、あそこでやってみたい』と思うようなJリーグでなければ、日本のサッカーの将来はない」と話してきた。

 日本サッカーのために、自分たちが子供たちの目をJリーグに向けさせる。選手たちはそんな気概を持ち、見ていて楽しい攻撃サッカーで結果を出すことにこだわってきた。

 5月にはACLの決勝トーナメント1回戦で優勝候補FCソウルに延長、PK戦の末に惜敗。試合後、崔龍洙監督は「浦和とはもうやりたくない」とポツリ。浦和が押し続けた試合内容は、今大会ベストマッチ確定との評価も受けている。

 加えて5月8日のアウェー大宮戦では「ダービーは負けられない」という両軍選手が激しくぶつかりあった。柏木も「大宮も前に出てきたから、うちとしては苦しい時間帯もあったけど、試合としてはすごくいい内容だった」と振り返る。

 会場を変えて行われるリターンマッチも、好勝負になるのは間違いない。両軍サポーターがスタンドを埋めるスタジアムの「劇場効果」も国内屈指。子供たちに初めて見てもらうには、最適のカードと言える。まずは1度、見てほしい-。最大89%オフという異例のセールには、そんな選手、クラブスタッフの思いも込められている。