新潟の今季初の連勝はならなかった。アウェーで勝ち点1を積み上げ、降格圏からは脱出した。ただ、「全体的にみれば勝ち点1を取れてよかったかもしれない。でも、もっと落ち着いてチャンスを増やしたかった」と、前半23分に先制点を挙げたMF成岡翔(32)が言うように、悔いの残る引き分けだった。

 DF早川史哉(22)への思いが強かった。急性白血病で闘病生活に入ったことが、13日にクラブから公表された。これがその後の初めての試合。試合前、3300人が詰めかけた新潟サポーターが、ゴール裏で早川の背番号「28」の人文字をつくった。勝利を届けようという雰囲気はスタンドもチームも同じ。「少し感情的になるものが最初からあった」。吉田達磨監督(42)が言うように、選手は普段より気持ちが高ぶった状態でピッチに入った。

 成岡の先制点は東京GK秋元陽太(28)が6秒以上ボールを保持したとして、得た間接FKから。FW山崎亮平(27)のリスタートを起点に奪った。ただ、その後は激しいボールの奪い合いからカウンターを仕掛け合う展開。その中から後半9分に同点に追いつかれた。

 ボールを落ち着かせる場を十分につくれず、流れにまかせた結果だった。「アクセルを踏みっぱなしになってしまった。感情をコントロールしなければ」。吉田監督は冷静なゲームメークを課題の1つに挙げた。チームメートを思う気持ちは強い。それを試合で表現しようとするがあまり、闘志の空回りにもつながった。